安倍元総理の銃撃事件で一躍脚光を浴びている世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)との関係をチェックすると、「入閣候補者は誰もいなくなる」というブラックジョークが永田町で囁かれている。
岸田文雄総理は8月下旬以降に、内閣改造と党人事を検討している。政界の人事には、スキャンダルの有無を調べる「身体検査」が行われる。「統一教会関連の団体から選挙支援を受けていないか、集会に参加したことがないか」なども検査項目に加えられた場合、該当しない自民党議員が少なく、「人事が成り立たない」というボヤキが漏れてくるのだ。
母親が統一教会に約1億円ともいわれる多額の寄付をしたため、家庭が崩壊。その恨みを晴らすべく、山上徹也容疑者はターゲットを探し、現在の総裁である韓鶴子氏を狙うことにした。ところがコロナ禍などで来日しなかったことから、方針転換。教会の関連団体の集会でビデオ演説するなど「広告塔」的に使われていた安倍氏を銃撃した。
自民党をはじめとする国会議員には、統一教会などのカルト団体とズブズブの関係にある人物が山のようにいる。いや、関連が全くない議員を探す方が難しいのでは、との指摘もあるほどだ。
これまでも多くの「被害者」を生み出してきた団体から選挙支援を受けていた国会議員の、政治倫理の問題は避けられないものだろう。
SNSでは、政治家と統一教会の関連を問いただす言説が目立つ。日本維新の会・足立康史議員は統一教会関連の団体で講演したことを指摘され、「不注意でした、二度と接点を持つことはありません」と謝罪している。
今回の参院選では統一教会関連団体の選挙応援指示書が暴露され、先の参院選で当選した自民党議員が実名で挙がっている。自民党議員が教会関連の集会に参加したと思われる写真も目立つ。永田町関係者が言う。
「統一教会ではなく、関連団体の勝共連合という形での支援も多い。自民党議員にとって選挙では非常に便利で、ボランティアも頼みやすく、関係者が議員秘書になっているケースもあると聞きます」
マルチ商法の広告塔に使われたことで問題になり、役職を辞した国会議員は過去にもいる。全国霊感商法対策弁護士連絡会が7月12日に公表した資料によると、17年から21年の5年間に限っても、統一教会関連の被害総額は約54億円にのぼるという。
内閣改造後の会見では「統一教会関連の団体との付き合いは?」との質問を受けることは必然だ。そこで綻びが見えれば、政権運営に影響を及ぼす。
岸田総理が自民党と統一教会との関連をどのように整理して、内閣改造に臨むのか。大きなポイントになりそうだ。
(健田ミナミ)