喜色満面の笑顔で、朝鮮半島の非核化に言及した北朝鮮の首領・金正恩委員長。しかし、この破顔の裏には冷酷無比な愚かなる素顔が隠されているのをご存知か。北朝鮮国内では、常に側近への猜疑心にさいなまれ、思いつきの愚策の数々に意見すれば粛清が待ち受ける。世界が知らない「裸の王様」の本性とは何か。長年にわたり北朝鮮の政治経済を分析、研究し続けてきたコリア国際研究所長の朴斗鎮氏が語る。
「未熟で経験のないまま最高指導者となったことから、絶えず北朝鮮の老幹部たちがバカにしていないかと意識しなければならない。これは金正恩にとって一つのコンプレックスになっています。ただ、一つだけはっきりしていることがある。北朝鮮の国家政策には、絶対権力者・金正恩委員長の性格と資質がそのまま反映されるということだ。北朝鮮がこれまで恐怖政治と核脅威で政治と外交を行ってきた背景には、金正恩の性格と未熟な資質に負うところが大きい」
4月27日、板門店で行われた南北首脳会談で、文在寅大統領と対面した金正恩は、笑顔を振りまき、核の脅威を煽る独裁者のイメージを一掃。一部では、ノーベル平和賞候補との声すらあがっているほどで、今後予定されているトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長による米朝首脳会談では、一気に非核化が実現するかのような論説も目立っている。
だが、非核化への行動を小出しにしながら支援を引き出そうともくろむ北朝鮮と、それを牽制する米国。双方の立場の違いはいまだ埋まっておらず、会談の行方は流動的。金正恩とはいったい何者で、その独裁体制が首脳会談にどう影響するのか。近著「金正恩 恐怖と不条理の統治構造」(新潮社)で首領の実像を活写した朴氏の指摘は傾聴に値するが、5月8日発売の週刊アサヒ芸能では、金正恩の生い立ちと知られざる冷酷素顔を徹底プロファイリングしている。