テリー あと、山下さんは「くいしん坊!万才」のイメージも強いですね。
山下 はい、俳優さんが出演するグルメ番組のはしりですよね。当時は都内のスタジオで缶詰め状態のまま仕事をしていたので、「外の空気を吸って、うまいもの食って、ちょっと遊べるのかな」みたいな気分で引き受けたんですが‥‥。
テリー あれれ、違ったんですか。
山下 初回の収録が石川県で、夜、飯を食べた時に横にいた女の子に話しかけたんですよ。そしたら、すぐそのことが代理店にバレてしまって、「山下、お前“夜のくいしん坊”になったらダメだぞ」と釘を刺されまして(笑)。
テリー ワハハハ、いかにもアサ芸がつけそうなキャッチですよ!
山下 だから僕、4年間日本中を周りましたけれど、1回も遊べなかったです。そんなに甘い世界じゃないんですよ。「太陽にほえろ!」の時もそうでしたし。
テリー 同じようなことがあったんですか?
山下 鹿児島ロケの時に独りで夜遊びに行ったんですが、部屋に帰ったらプロデューサーにめちゃめちゃ怒られましたよ。「お前は『太陽にほえろ!』株式会社に入ったのと一緒なんだぞ。看板背負っているんだから、勝手な自由行動はするな。問題を起こしたら本当にぶっ殺すぞ!」みたいな感じで言われて。
テリー まさにスポ根の世界だ(笑)。ところで「スクール☆ウォーズ」に、「俺はこれからお前たちを殴る!」と言って、滝沢先生がラグビー部員を殴っていく有名なシーンがありますよね。あれは実に感動的なシーンですけど、今の時代だと通用しないかもしれないですよね。
山下 行為そのものとしては問題かもしれませんが、あれはお互いに信頼関係を築いたうえでのやり取りなので、僕はアリじゃないかと思います。本当に大事なやり取りならば、殴る側もケガをさせるほどブン殴らないでしょうし、殴られたほうも恨みに思ったりしないと思うんです。
テリー 僕は今、「スクール☆ウォーズ」みたいなドラマがまた求められる時代が来ているんじゃないか、と思うんですけれど。
山下 ほとんどの人って、何かしらのコンプレックスを抱えていると思うんですね。ましてや今の10代の若者たちは、なかなか人生の目的を見つけられないんじゃないでしょうか。今の学校教育は勉強第一、落ちこぼれたらもうおしまいという感じですよね。でも、そうじゃないんですよ。例えばスポーツを通して仲間を作れば、お互いに切磋琢磨しながら人間として成長することができる。「スクール☆ウォーズ」はそういう、人の優しさを教えるドラマだと思うんです。
テリー そうですね。
山下 だから僕ら役者は、ものすごくやる気になったし、責任も感じました。昨日会ったファンの方に「あのドラマがあったから今日の僕があります」みたいなことを言われましたが、そういう人に夢と希望を与えてくれるドラマって、まだまだみんな求めていると思うんですよ。たまに「熱血なんて時代遅れ」と言われますけど、そういう思いに「時代」なんて関係ないですからね。
テリー すっかり滝沢先生の調子になっていますけど(笑)、山下さんにとってこの作品は、まさに役者人生の宝物になりましたね。
山下 はい、この作品と出会えて幸福でした。今度DVDボックスも出ますので、ぜひあらためて、そのすばらしさに触れていただければ、と思います。
◆テリーからひと言
ほら、おもしろい話だらけだったじゃない(笑)。しかし、滝沢先生を地で行く熱い人だな。だから山下さんの役者人生を代表するハマリ役になったんだよ。