先日、驚きの研究結果が発表された。それは、汗臭・加齢臭に加え、働き盛りのビジネスマンを悩ます「疲労臭」のこと。全身の毛穴からアンモニア臭が漏れてくるという、この“皮膚ガスのニオイ問題”には、いわゆる腸活、それも「大腸活」がカギを握ることが分かったというのだ。
研究は東海大学理学部化学科の関根嘉香教授によるもので、「疲労臭は腸内環境を改善することで軽減できる」そうだ。汗臭いのは洗えば落ちる。加齢臭にはまだ早い。でも、主に大腸内で発生する疲労臭は、実は洗っても取れない。その対策を考えたとき、背景にみえてきたのは日本人の“大腸の劣化”だった──。
◆大腸は全身の健康リスクにつながる重要な臓器だった!?
30歳を過ぎた男性ならば、忙しさも相まって生活は乱れ、仕事のストレスも溜まり、暴飲暴食が続くことも珍しくはないだろう。でも実はこれ、すべてが大腸劣化を招く一因でもあるのだ。“腸活”や“腸内環境を整える”など、世の健康ブームによって腸の大切さが叫ばれて久しいが、我々はどれだけ腸のことを知っているのか。実際、小腸と大腸の区別さえつかない諸氏も多いのでは。
帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科の松井輝明教授は、「腸内細菌のほとんどが大腸に存在し、善玉菌が優位であることが腸内環境を良好に保つといわれています。また、近年は腸内環境と全身の健康状態、さらには脳や神経の状態との関係も明らかになり、その重要な役割から、まさに“大腸は健康の要”といっても過言ではない存在になってきました」と話す。
逆をいえば「大腸が劣化するほど健康リスクは高まる」ということ。事実、大腸がんなどの大腸に関する疾病が年々増加。2003年以降は、大腸がんが女性の部位別死亡率で第1位となっている。冒頭で述べた疲労臭も、タンパク質が消化されてできたアミノ酸を悪玉菌が分解することで発生するアンモニアが、大腸で分解しきれなくなって血中に溢れて全身へ循環してしまうことから起こる。つまりは大腸の劣化が大元の原因。かようにビジネスマンと大腸の関係は無視できない問題なのだ。では、大腸劣化を防ぐ手立てはあるのだろうか。
◆腸内細菌が作り出す、大腸劣化のカギを握る成分とは?
松井教授によると、「そのカギを握る物質として『短鎖脂肪酸』に注目が集まっている」という。いったいどういうことだろうか。
短鎖脂肪酸の働きは、腸内を弱酸性に保って悪玉菌の活動を抑制したり、大腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進して便通を良好にしたり、殺菌・抗炎症作用とともに腸のバリア機能を高めたり、非常に多岐に渡るという。また、全身のエネルギー源になって脳や神経を活性化したり、脂肪の蓄積を防ぎ代謝を上げて痩せ体質へ導いたりといった効果もある。
驚くべき健康効果だが、この短鎖脂肪酸は大腸の劣化によって産生が低下するため、大腸内がアルカリに偏り、またエネルギーが産生できなくなることで、さらに大腸の機能が衰えてしまう。そのために必要なのが、大腸ケアというわけだ。
◆短鎖脂肪酸を増やすために摂取するべき食材とは?
気になる大腸ケアだが、実際に何をすればよいのだろうか。働き盛りのビジネスマンにとっては一分一秒が大事。そのため、手間暇かかる対策は現実的には難しい。そこで、手軽にできる大腸ケアとして活用したいのが「ビフィズス菌」だ。
短鎖脂肪酸は、大腸内の代表的な善玉菌であるビフィズス菌が、わかめや昆布、果物、大麦などに多く含まれる水溶性食物繊維をエサとし、代謝産物として産生する。つまり、大腸内で短鎖脂肪酸を増やすためには、ビフィズス菌と水溶性食物繊維を摂ればいい。注意したいのは、野菜、穀類、豆類などの不溶性食物繊維ではダメということ。たったこれだけで健康リスクを取り除くことができるなら、忙しいビジネスマンでも対応できるだろう。
◆実はまったく異なるものだった! ビフィズス菌と乳酸菌の違いとは?
さて、ビフィズス菌といえば、まずは「ヨーグルト」が思い浮かぶだろう。でもちょっと待って! ヨーグルト自体は乳酸菌が発酵してつくられるため、乳酸菌は必ず入っているが、ビフィズス菌は必ずしもすべてのヨーグルトに入っている訳ではない、ということをご存知だろうか? 一括りにされがちなビフィズス菌と乳酸菌だが、実はそれぞれ棲む場所も働きも異なっている。主に、乳酸菌は小腸、ビフィズス菌は大腸に棲むため、大腸内における数には約1000倍もの差があるというから驚きだ。
また、前述の短鎖脂肪酸なる物質だが、これを作ってくれるのはビフィズス菌であって乳酸菌ではない。つまり、同じヨーグルトでも、大腸ケアのためにはビフィズス菌が入っているかどうかを確かめることが重要というわけだ。
勘違いしやすいところだが、これら大腸に関する正しい知識を持って、大腸ケアに励んでいただきたい。そして、健康不安やニオイなどの悩みを解消し、仕事もプライベートも充実させようではないか!
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