大相撲人気の高まりが、意外なところで証明された。会場をドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)から愛知国際アリーナ(IGアリーナ)に移して開催される大相撲名古屋場所(7月13日初日)のチケットが、物議を醸しているのだ。
IGアリーナは収容人数最大1万7000人、着席数1万5000人という国内最大のアリーナで、約7400人のドルフィンズアリーナの約2倍。ところが例年に比べ、観戦チケットがはるかに取りづらくなっている。スポーツ紙大相撲担当記者が首を傾げる。
「名古屋場所に限らず、取材をしていて、大相撲ファンから『今年に入って観戦チケットがますます手に入らなくなった』との声を聞きます。名古屋場所に関しては大相撲ファンクラブの先行販売でも第1希望から第8希望まで全部外れたという話もザラにある。Xでは『Snow Manのライブチケットか』と嘆く声さえあります。5月17日からの一般販売でチケットを取るのは難しいでしょうね」
これには理由があった。各界関係者が解説する。
「名古屋場所は主催の中日新聞社が押さえている分はあるでしょうが、昔のように相撲茶屋が手配するチケットが増えているという話です。相撲茶屋にチケットを頼むとお土産代込みになったり、あるいはご祝儀が必要になり、観戦する側にとっては当然、割り高になる。でも昔から、相撲協会と相撲茶屋は持ちつ持たれつ。相撲人気が下火の時には、相撲茶屋がツテを頼ってさばいてくれる。逆に相撲人気が高まると、相撲茶屋が押さえたチケットは一般には出回らない。これまでも相撲茶屋の存在が批判の的になったことはあるにせよ、相撲協会としてはなかなか関係を見直せないでしょう。リスクマネージメントの観点からも、財政面で協力してもらっていますからね。今回の名古屋場所では2人マスや椅子席C、Dは先行販売されていませんが、それらの一部は相撲茶屋に回っていると思います。マス席は先行販売されていますが、いい席は相撲茶屋が持っているのでは」
若貴ブームの際には「4人定員の4人マスが相撲茶屋を通すと、定価の4万4000円が100万円になった」といわれている。チケット問題は横綱を狙う大関・大の里らの躍進もあり、大相撲人気が高まりを見せている証拠だが、極端な高騰は人気に水を差しかねない。