去る2月11日は、2020年に亡くなった野村克也氏の命日だった。野村氏といえばヤクルトを3度の日本一に導いた名将ながら、現役時には日本プロ野球史上2人目となる三冠王を達成。また、捕手としての“ささやき戦術”も有名だ。
西武ライオンズなどで活躍した元プロ野球選手の松井稼頭央氏が、上原浩治氏のYouTubeチャンネルに出演(2月1日付け投稿回)。昔の方が“ささやく”キャッチャーは多かったと松井氏が回顧して名前を挙げたのは、横浜、中日で活躍し、通算2108安打で名球会入りも果たした谷繁元信氏だった。
パ・リーグの松井氏と、セ・リーグの谷繁氏の対戦は当時はオープン戦のみ。しかしながら、谷繁氏はバッターボックスでの打者のほんのわずかな差を見逃さず、「あれ? 立つ位置変えたね?」などと、昨年との違いをボソリと指摘してきたのだという。またある試合では、松井氏がズボンの後ろのポケットに入れている手袋に対して、「片方入れて片方何も入れてなかったらバランス悪くなるよ、腰悪いんねんから…」と忠告までしてきたのだとか。
「谷繁さん、打席の中でアドバイスくれる」と、白い歯を見せた松井氏。その笑顔には、谷繁氏への感謝が存分に読み取れるが、もしそれらの“ささやき”が、日本シリーズでの対戦を想定した打者の性格やクセを得るためのコミュニケーションだったとすれば、野村氏もビックリ、谷繁氏の癒し系のささやき戦術だったかもしれない。
(ユーチューブライター・所ひで)