コンプライアンスの徹底が求められるようになったテレビ業界にあって、攻めた企画で人気を集めるのが「水曜日のダウンタウン」(TBS系)だ。
4月27日放送回の「若手芸人コンプライアンスでがんじがらめにされても従わざるを得ない説」では、不条理なまでに自主規制を要求する架空の番組ロケを行い、若手芸人の対応を検証。
スタッフに対して「マジつまんなくなってきた」と反発した「そいつどいつ」の市川刺身に、スタジオの松本人志も感心しきりだった。
そんな番組で「さすがにアウト」と指摘される企画が、5月4日放送の、複数の芸人が短い説を持ち寄る「みんなの説SP」だった。
この中で紹介されたのが「フラッシュ暗算途中にめちゃ気が散る画像挟まれたらさすがの暗算名人でも正解出せない説」だ。放送担当記者が苦笑する。
「フラッシュ暗算でギネス世界記録を持つ高倉佑一朗氏に対し、暗算中の気を散らすために『ロケ前日に尾行して撮った盗み撮り映像』を数字の間に挟むというユニークな企画。ところが『一線を越えた』と感じざるを得ない内容だったんです」
喫茶店や雀荘での、高倉氏の姿が盗み撮りされていたのだが、
「屋外での盗み撮りだけでなく、高倉氏の自室にもカメラを設置。ズボンを履き替える様子まで撮られていました。『ドッキリを装った企画』として事前に本人に承諾を取っているのかもしれませんが、そうでなければ、一般人の着替えを盗み撮りしたことになる。規制だらけのバラエティー番組の現状もどうかと思いますが、さすがにこれはNGでは…」(前出・放送担当記者)
笑いとコンプライアンスの両立に、困難は立ちはだかる──。
(川瀬大輔)