日韓局長級協議が「慰安婦問題」によって空転した。一方、問題をたきつけた張本人は、シレッとした顔で独善的な理想論を振りかざしているのだ。
4月16日、日韓局長級会議が、ソウルの韓国外務省で開かれた。23日のオバマ大統領(52)訪日を控え、アメリカ側から日韓関係の修復を要請されたためである。参加した伊原純一外務省アジア大洋州局長は、
「有意義な会議だった」
とコメントしたが、ある政治部記者は、こう解説する。
「韓国側は『慰安婦問題』一点に議題をしぼってきました。日本政府が法的責任を認めることと、賠償の支払いで一歩も譲りませんでした」
韓国側の要求に、安倍晋三総理(59)の土下座が含まれていることは言うまでもなく、日本側がその要求を飲むこともありえない。慰安婦問題はもはや迷宮入りの様相を呈しているのだ。
「次回、東京で開催されることが決まったものの、協議は一切進展しませんでした。韓国側が『慰安婦』を問題とするかぎり、日韓関係が改善されることはない状況です」
日韓基本条約が締結されたのが1965年、以来、従軍慰安婦の存在は、日本政府内でもほぼ知られていなかった。問題となったきっかけは、91年8月、朝日新聞大阪朝刊の、
〈思い出すと今も涙元朝鮮人従軍慰安婦を韓国の団体聞き取り〉
であることは、先週号で報じたとおりである。
現在、国際社会で大きく日本人の地位を貶める慰安婦問題。その“大戦犯”とも言える朝日新聞では「韓国と語る」という隔週の連載記事がデジタル版で始まっていた。政治部記者が語る。
「記事は、日韓関係に関わった著名人のインタビューです。聞き手と書き手は朝日新聞の前主筆である若宮啓文さんです。主筆とは朝日新聞記者のトップ。若宮さんは、11年から約2年間主筆を務め、13年1月に朝日新聞を退社しているが、現在でも『前主筆』の立場で、日本、中国、韓国の諸問題について朝日の記事にコメントを寄せています」
「韓国と語る」は、来年の日韓国交正常化50周年を控え、同社が意気込みを持って挑んでいる企画だ。第1回目の冒頭で若宮氏は、現在の日韓関係を、
〈まさか、こんなことになるなんて‥‥と、多くの人が感じているのではないか〉
と問いかけ、
〈空前の韓流ブームも起きたのに、いまの日韓は一体どうなってしまったのか‥‥〉
と、嘆いてさえみせたのだった。