「芸能界はヤクザな商売」と言われるが、いずれも組織の力がモノを言う弱肉強食の世界だ。「ならば!」とばかりにジャニーズ副社長の電撃退社に現役ヤクザが物申す! トップとナンバー2の確執、離脱者たちの合流や組織再編をどう見るか。令和版「仁義なき戦い」を彷彿させるアイドル抗争の行方は──。
「こっちの業界で言やあ、山口組が割れたみたいなことだ。まあ、いろいろあったんだろうよ」
電話口でそう笑うのは、関東在住のとある指定暴力団幹部だ。今回、旧知の週刊アサヒ芸能記者に久々に連絡をよこしたかと思ったら、開口一番でジャニーズ事務所の滝沢秀明元副社長(40)の退社に言及したのだから驚くばかり。
確かに今回のニュースは世間に大きなインパクトを与えたが、渡世に生きるヤクザはどう捉えたのか。これまで極道社会を取材し、著書に「ヤクザライフ」(双葉社)があるフリーライターの上野友行氏が語る。
「実は今回の分裂騒動は裏社会でも話題になっています。ジャニーズという巨大組織、そしてジャニー喜多川氏という絶対的カリスマの死、その後継者でナンバー2にあたる滝沢氏の離脱‥‥。こうしたゴタゴタを我が身に重ねて思索にふけるヤクザは少なくないようです」
一連の騒動をおさらいしよう。発覚は11月1日。18年末の芸能界引退後は後進の育成に打ち込んできた滝沢氏が、本体のジャニーズ事務所の副社長を退任。さらにジャニーズJr.の公演を手掛けてきた子会社・ジャニーズアイランドの社長職も辞したことが発表された。大手メディアは「円満退社」を強調したが、離脱者は滝沢氏にとどまらない。辞任発表からわずか3日後には、人気グループ「King&Prince」の5人のメンバーのうち、平野紫耀(25)、岸優太(27)、神宮寺勇太(25)の3名が来年5月に脱退、その後、退所することが発表された。
19年には関ジャニ∞から錦戸亮(38)、21年にはTOKIOから長瀬智也(44)が脱退・退所したが、有力組織(グループ)の“分裂”がハッキリと露呈するのは、16年末に解散したSMAP以来のこと。関東組織幹部はこう言ってジャニー喜多川氏の死を惜しむ。
「誰もが認める組長がいる時には組織としてうまく回っていたが、いなくなっておかしくなる。そんな組は山のようにある。トップが変われば組織も変わるもんだ。今回も、突き詰めればそういうことだろ」
いまだ多くの謎に包まれた滝沢氏の退社劇。ヤクザの視点で読み解くと、新たな発見が見て取れた。