年内休養を表明している中居正広の近影が、憶測を呼んでいる。休養再々延長について言及する一部メディアもあるが、寒さが厳しくなる年明け、もし中居の体力が回復していないのなら、休養期間を延ばすのはやむを得ない。中居とテレビ局の間で話がついている場合は、外野がとやかく言うのは無粋だろう。
そういえば、と思い出すのは、昭和の人気番組「オレたちひょうきん族」(フジテレビ系)だ。初代ブラックデビル役は高田純次だったが、初回撮影後に「おたふく風邪」にかかってしまい、代役で出演した明石家さんまが大ブレイク。そのまま出続けて出世することになったのは有名なエピソードだ。
高田もさんまも80年代から現在まで第一線で活躍しているから笑い話になるが、体調不良でひとたび仕事を休めば、他の出演者にとって代わられる危険性がある芸能人にとって、少々の体調不良では仕事をキャンセルできない。中居も休養を発表するまでに、相当の葛藤があったことだろう。
12月11日放送の「中居正広のプロ野球珍プレー好プレー大賞」(フジテレビ系)に、中居がVTR出演した。目は窪み、頬はこけ、首も筋が浮く、ありのままの姿を隠しはしなかった。それでも中居は病名を公表することはないだろう。
「中居さんの主治医は総理経験者や現役閣僚の主治医も務めたことがある名医ですが、公人でも病名公表させない方針でした。病名をカミングアウトすると本人が精神的に参ってしまい、辛い治療に耐えられなくなるからです。雑音は気にせず治療に専念してもらう、という考えの持ち主ですね」(都内病院に勤務する消化器外科医)
この消化器外科医によれば、年齢や性別を問わず、病名を口にすることで人間関係に影を落とすことがあるという。特に社長や大企業の役員など社会的地位のある人ほど顕著で、人事や取引にも影響があるそうだ。
幼い頃に小児ガンを克服した女性も、
「10歳の頃に小児ガンと診断され、寛解して20年以上経っていますが、今でも『元ガン患者』扱いされる。昔、闘病していたことを打ち明けると、一瞬の間を置いて、同情や憐れみの混じった視線に変わるのが辛い」
と苦悩を明かす。看護師としては、幼くして亡くなった病棟のお友達の分も生きてほしい、感謝の気持ちは忘れないでほしい、と押し付けてしまうのだが、
「それが辛い。元ガン患者として見られたくない。ごく普通の人間として生きたいのに」(前出・元ガン患者の女性)
プロダクション社長でありアイドルの矜持を持ち続ける中居なら、なおさらのこと。病名を公表せず、アイドル中居正広、MC中居正広、ラジオパーソナリティー中居正広…として、これからもテレビ、ラジオに出続けるだろう。
「中居君と忘年会の約束をしました 楽しみです」と自身のSNSでつぶやいたダウンタウン松本人志や、記者団に「そーっと応援してます」と語った元SMAP香取慎吾のような自然体の振る舞いは、できるようでなかなかできない。つい自分を善人に見せたくなるような歯の浮くことを言って、かえって相手を傷つけるのがオチだ。
早くよくなるように、早く復帰するようにと、つい願ってしまう視聴者の意識が変わらなければ、熱があっても出勤するようなブラックな環境はなくならない…。
(那須優子/医療ジャーナリスト)