放送法が定める「政治的公平」の解釈をめぐり、立憲民主党の小西洋之参院議員が公表した文書について、松本剛明総務相は、総務省が作成した行政文書であることを認めたが、与野党ともに口をつぐんでいることがある。それは当時の旧郵政省出身者のトップである総務審議官だった、桜井俊氏の国会招致だ。桜井氏とはもちろん、活動休止中のアイドルグループ「嵐」の櫻井翔の父親として知られる人物だ。
文書を見ると、「配布先」として当時の高市早苗総務相や事務次官の名前は入っておらず、桜井総務審議官の名前が最初に出てくる。あるいは「礒崎陽輔総理補佐官からの連絡(総理レクの結果)」の報告では「桜井総務審議官限り」となっている文書もある。つまり、桜井氏は当時の全てを知る人物であるのだ。旧郵政省グループの「司令塔」であった桜井氏から聴取すれば、全体像がわかるはずである。
にもかかわらず、立憲民主党はもちろんのこと、自民党も桜井氏の国会招致を求めようとはしていない。政府関係者はその理由について、
「『取扱厳重注意』の文書を小西洋之議員に手渡したのは、国家公務員法違反の機密漏洩に当たる可能性がある。文書は情報流通行政局保管だったが、大臣室からも閲覧できない。つまり、旧郵政省グループしか知らない文書だった。おのずから『犯人』も限られてくる。桜井氏が招致されれば、監督責任問題が当然のことながら出てくる。与野党ともに『櫻井パパ』を追及することに腰が引けている」
テレビ各局などメディアも同様で、「嵐」が所属するジャニーズ事務所に忖度して、櫻井パパに矛先が向くようなことは決してしようとしない。その結果、高市氏の追及に終始するという茶番劇が繰り広げられているのだ。