北朝鮮と中国の国境にある白頭山。富士山が日本を象徴する山なら、こちらは朝鮮半島の「聖山」と言われる、標高2774メートルの活火山だ。
この白頭山、10世紀には過去2000年で世界最大級とされる巨大噴火を起こしており、北海道にも5センチの火山灰が降り積もったという。地層学の専門家が解説する。
「白頭山はこれまで100年に一度の小噴火と、1000年に一度の大噴火を繰り返してきました。しかも噴火を起こしたタイミングで、日本では慶長三陸地震、明治三陸地震など巨大地震の発生が確認されている。10世紀の大噴火については、三陸沖で発生したマグニチュード(M)8.3超の貞観地震との関連性を指摘する専門家もいる。現在でいえば、東日本大震災の影響の可能性が考えられるということです」
2004年と05年、防災科学研究所などが衛星から撮影した画像を解析したところ、白頭山では山頂が約2センチ隆起し、地下にマグマが蓄えられていることが判明。中国や韓国の専門家は、近々の噴火を予測しているという。
「北朝鮮は北東部の豊渓里核実験場でたびたび地下核実験を繰り返していますが、イギリスの著名な火山科学者ロビン・アンドリュース氏は、米経済誌『フォーブス』で『水爆実験が白頭山の爆発を誘発するおそれがある』と指摘しているんです」(前出・地層学の専門家)
では、もし大噴火したらどうなるのか。
「まず懸念されるのは、巨大噴火と大地震の連動です。白頭山大噴火は19年に韓国で映画化されていますが、作品中でも描かれたように、ソウルがM8クラスの巨大地震に襲われる可能性がある。しかも白頭山近くの中国側には現在、稼働中と思われる原発があり、火砕流に巻き込まれれば中国、北朝鮮にとどまらず、韓国、日本にも大災害を及ぼすことが考えられます」(科学誌編集者)
南海トラフ巨大地震や関東直下型地震、富士山の大噴火など、いつ発生してもなんら不思議はない天変地異は多くあるが、その危険の芽の存在は日本国内に限ったことではないのだ。