「まず守備からよ。めちゃくちゃ肩強かったんだよ、ワシ。イチローが出てきたじゃない。イチローの肩、あれに匹敵するくらいの強さだった。だから守備の方でまずレギュラー、って感じだな」
こう言って胸を張ったのは誰あろう、あの「ミスター赤ヘル」だった。首位打者1回、本塁打王3回、打点王3回に輝くスラッガーながら、プロ入り当初は守備力を買われたのだという。
野球解説者・落合博満氏のYouTubeチャンネル〈【公式】落合博満氏のオレ流チャンネル〉に登場した山本浩二氏は1969年、広島市民球場で行われた開幕2戦目を感慨深く振り返った。
「中日戦やったな。センター守ってて、9回の表に中日がランナーを3塁に置いてるわけ。バッターがライトに打ってきた。それを横取りして、バックホームに投げて、ノーバウンドでタッチアウト。そこで球場がワーッと沸いたわけ。それから守備の方でワシもすごく話題になるっちゃ、おかしいんやけど…」
ホームランバッターの印象が強い山本氏だが、外野手としてベストナインとダイヤモンドグラブ賞にそれぞれ、セ・リーグ最多の10回も選出される守備力を誇った。
ちなみに、44本を放って初の本塁打王に輝いたのは、プロ入り10年目。遅咲きの大輪が広島の地に開花したのである。
(所ひで/ユーチューブライター)