構造的にメディアが不況に陥って久しいが、淘汰は地方から始まっている。ある地方テレビ局では近年、毎年のように若手社員が辞表を提出。通常業務に支障が出るまでになっていた。
「人を入れてもすぐに辞めてしまい、補充が追い付かない。半年近くかけて、優秀な大学を卒業した新卒の局員を採用しても、数カ月でメンタル不調を理由に休職してしまう。以前は心身ともにハードだったテレビ業界ですが、NHKや電通での記者や職員の自殺をきっかけに働き方改革をどんどん進めてきた結果、休みばかりが優先されて、基本的な仕事さえ覚えられなくなった。先輩が仕方がなく後輩の仕事をフォローしますが、それで『私は何もできない』と思い悩んでしまい、メンタル不調をきたすようになっています」(地方テレビ局社員)
単に人数を手厚く採用したり、業務を効率化すれば危機を乗り越えられるとも限らない。
「1人何役も担える人材が必須です。例えば報道記者なら、扱うニュースが地上波なのか、ネットニュースなのか、速報性を優先させるのか、などの取捨選択ができないと、テレビ局としては生き残れない。地方局の多くはアナウンサーが記者を兼務することもありますが、彼らにもそういったことを求められる時代がすぐそこまで来ています」(前出・地方テレビ局社員)
フットワークの軽さがテレビ局に重宝されるのだ。
(つづく)