期待はしていなかったが、それでもやはり…。
ジャニーズ事務所の「外部専門家による再発防止特別チーム」が、ジャニー喜多川氏によるジャニーズJr.たちへの性的虐待を認定してから最初の日曜日となる9月3日。ジャニーズ事務所所属タレントの最年長である東山紀之は、早朝番組「サンデーLIVE!!」(テレビ朝日系)に生出演して、
「再発防止チームの厳しい指摘と改革案を含む調査結果を重く受け止め、7日に会見を開き、今後の取り組みに関して事務所が説明することになっています。今の段階で私としては、これ以上のコメントは控えさせていただきます」
そう機械的に述べるにとどまった。特別チームが認定したのは、
「1950年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所では1970年代前半から2010年代半ばまでの間、長期間にわたって広範に性加害を繰り返した」
という、おぞましいものだ。
同じく7月9日放送のラジオ番組「楽天カード サンデー・ソングブック」(TOKYO FM)では、ジャニー喜多川氏を擁護、礼賛していた山下達郎も、あらかじめ録音された妻・竹内まりやとの対談特集(後編)を、自身のラジオ番組で放送した。性暴力スキャンダル発覚後に山下が主張したのは、
「ジャニーさんのプロデューサーとしての才能を認めることと、社会的、倫理的な意味での性加害を容認することとは全くの別問題だと考えております。作品に罪はありませんし、タレントさんたちも同様です」
というものだった。
現在、全国ツアー中の山下と竹内の夫妻は、番組収録時には特別チームの調査結果は知らなかっただろうが、批判のあった前回の番組で「性加害が本当にあったとすれば、許しがたい。被害者の方々の苦しみを思えば、第三者委員会等での事実関係の調査というのは必須であると考えます」と語った山下が、次の放送で改めて性加害問題に触れるのか、注目される。
歯切れの悪い事務所の先輩・東山とは対照的に、性加害を真正面から語ったのは、KAT-TUNの中丸雄一だった。中丸はレギュラー出演する「シューイチ」(日本テレビ系)で、
「ジャニーズ事務所がとるべき道の参考になるものが、多くあった」
と話し、ジャニーズ事務所所属タレントとしては初めて、調査結果を支持した。その上で、
「事務所が性加害を認めるか。認めるのであれば、賠償とセットで考えていかないといけない。相談窓口と精神的サポートチーム、この四つが揃ってようやく、やっとひとつ完成に近づく」
過去に被害に遭った事務所の先輩たちへの気遣いも見せたのだった。芸能プロ関係者が言う。
「次期ジャニーズ事務所の社長候補には東山の名前も挙がっていますが、被害者からは『東山も性加害を知っていたはず』と名指しされました。仮に7日の会見に東山が同席するなら、自身の隠蔽疑惑についても説明すべきでしょう。被害者達は刑事、民事の訴訟を準備中であると、9月4日の記者会見で明かしたばかり。これから法廷でジャニー喜多川氏、メリー喜多川氏に寵愛された東山についても新事実が出てきたら、ジャニーズ事務所の再建、社会的信用回復は困難を極める」
性加害に向き合う中丸のような所属タレントを守るために、新経営陣は膿を出し切るべきだろう。
(那須優子)