シンガソングライターの山崎まさよしが、ライブチケットの払い戻し騒動になるほど、大炎上中だ。
問題が起きたのは、10月21日に茨城県の水戸市民会館で行われた、弾き語りライブツアー。山崎はライブの最初に「今日はあんまり歌いたくない」などと発言。数曲歌った後に会場から怒号が飛び、帰るファンが続出したとSNSに書き込まれた。
この騒動を受けて、山崎の所属事務所は10月23日に公式サイト上で「この度は、みなさまにご迷惑とご心配をお掛けしましたこと、深くお詫び申し上げます」と謝罪。希望者にはチケット代金の払い戻しに応じる旨を発表した。ところがその後、問題のライブ会場にいた山崎のファン達から、意外な事実が明かされる。「歌いたくない」と切り出したのは山崎本人だが、ライブを見に来た観客のマナーも最悪だったというのだ。
今回のツアーは、山崎がギターとピアノ、ハーモニカを独演する、デビュー当初の演奏スタイルを復刻。それゆえ、ライブの進行はもとから山崎次第で、全てを自ら取り仕切らねばならず、アーティストにとっては気楽さより重圧の方が勝るだろう。
ファンが書き込んだSNSによると、山崎に向かって「歌を歌わないなら帰る」「払い戻ししてもらえるんですよね」「遠方から楽しみに来たのに」などと怒鳴りつけたり、泣き出した客はまだマシな方。山崎のトークを遮って「自分はあなたの曲2曲くらいしか知らない」と、あまりに失礼なことを言い出した中高年女性が10分以上にわたり、自分語りを始めてしまったという。
アーティストだって人間だ。声が出ない、気が乗らない時はある。そんな時に「あなたの曲を知らない」とライブを妨害され、山崎が怒って帰らないだけマシだったのでは…。
過去に筆者は歌手の故・尾崎紀世彦さんの取材で、こんな告白を聞いた。
「ショーやステージで他の曲を歌うと『また逢う日まで』を歌え、他の歌は聞きたくない、とヤジを飛ばされるのがこたえた。自分はコインを入れれば『また逢う日まで』を歌うジュークボックスかカラオケなのか。そういうことが何十年も続いて眠れなくなったし、酒量も増えた」
代表曲がメジャーになりすぎたアーティストが、悲劇と苦悩を明かしたのだった。
今回のライブの異常なところは、山崎がここまで観客に無礼なことを言われても怒らず、ライブを中止にもせず、怒声を浴びせられても反応が鈍かったこと。ライブ当初からとりとめめのない話を始めた山崎の精神状態や体調を心配するのが、本当のファンだろう。
山崎がこの日に歌ったのは、わずか8曲。だが、心ないヤジを浴びせたニワカでも知っているであろう「セロリ」と「僕はここにいる」だけはきちんと歌ったそうだ。
(那須優子)