プロ野球「日本シリーズ2023」第3戦(10月31日・甲子園)は、1点を争う好ゲームの末、オリックスが5-4で勝利。完全アウェーの甲子園球場で価値ある1勝となった。
先に2勝したチームが日本一になる確率は80%近くにも上り、数字的には俄然オリックスが有利になってきた。その勝因は「ナカジマジック」と言われる中嶋聡監督の采配だ。入団時には「捕手でしか起用しない」と明言していた森友哉を大事な日本シリーズ3戦目であえて右翼で起用した。森は今季、ポストシーズンを含めわずか10試合しか右翼で起用されていない。
「甲子園の外野守備は12球団で最も難しいと思います。バウンドが予測できる人工芝ではないことと、日によっては右翼から左翼に吹く浜風が本職の外野手でも戸惑わせます」(阪神担当記者)
試合前日、森も「怖いですが、やるっきゃないです」とコメントしていたが、実際の試合では「(阪神ファンの)圧がすごかった。背中が痛かった。ずっとしばかれているみたいな感覚だった」と溜め息。それでも西武時代に7年ぶりとなる甲子園での右翼守備も無難にこなした。打撃の方でも左打者には不利と言われる甲子園球場で5打数2安打としっかり勝利に貢献している。
それにしても「ナカジマジック」はなぜ当たるのか。オリックス担当記者によれば、
「京セラドームの監督室には、1軍だけではなく2軍や育成まで全選手のコンディションを克明に書き込んだホワイトボードがあるらしい。中嶋監督はそれと睨めっこしながら、選手起用や投手の交代策を練っていると言われます」
昨オフは巨人も獲得に乗り出したが森だが、FA交渉スタート日からわずか6日で「オリックスにお世話になります。お金や契約期間(4年契約18億円・金額は推定)ではないです。中嶋監督のもとなら成長できると思った」と話していた。そんな、選手も監督もウィンウィンの良好な関係にあるオリックスが、連覇に向けこのまま突っ走るか。
(小田龍司)