どんどん費用が上乗せされ、会場建設費として当初の2倍以上のカネが注ぎ込まれる大阪万博。それでも岸田文雄総理や大阪の吉村洋文知事は、さらに国民の負担を強いる厚顔ぶりを見せている。参加を見送る国も出てくる中、芸能界との関係をめぐって「新たな問題」がくすぶっていた。(10月3日配信)
「非常に切羽詰まった状況にあります」
9月20日、経団連の十倉雅和会長が厳しい認識を示したのは、2025年4月に開幕予定の大阪・関西万博だ。海外パビリオンの建設が大幅に遅れ、開催危機まで囁かれる中、新たなトラブルの火種がくすぶっていた。
「タレントさんは一生懸命やってくださっていますので、そういった意味では頑張ってもらいたいと思っています」
吉村洋文大阪府知事が、ジャニーズタレントの起用継続を宣言したのは、9月13日の囲み会見でのことである。芸能記者が解説する。
「関ジャニ∞は2018年から、大阪観光のシンボルキャラクターを務めています。その縁で万博関連のイベントやPR番組に関わってきたのですが、そこへ発覚したのが故ジャニー喜多川氏の性加害問題。被害者は3ケタに達するとの見方もあり、世界的に見ても、人類史上最悪の児童虐待事件と認知されています。そんな人物の名を冠したグループが万博のPRに関わることに、世界からは厳しい目が向けられそうです」
事実、9月4日にジャニーズ事務所が会見を開き、新社長の東山紀之が社名の存続を発表すると、日本航空や日産自動車、日本マクドナルド、サントリーHDといった大企業がCMの放送休止や契約の見直しへと舵を切った。
大阪万博の関係者は、頭を抱えながらこう打ち明ける。
「海外と取引を行う企業ならば、(契約見直しは)当然の判断。ジャニーズのタレントを起用することは『性犯罪に寛容です』とプラカードを掲げているようなもの。もし今後も万博のイベントに彼らを出席させ続ければ、欧米の人権団体やメディア、さらに万博の海外パビリオンに出資するスポンサー企業も黙ってはいないでしょう」
そこで浮上してきた「最悪のシナリオ」とは…。
「ジャニーズ問題を大きく報じているのがイギリス、フランス、そしてアメリカ。このうち1カ国でもボイコットとなれば、雪崩を打って参加拒否する国が続出してもおかしくありません」(前出・万博関係者)
先の「吉村発言」について、元衆議院議員で政治団体「赤字黒字」代表の安藤裕氏は「大前提として(潔白の)タレント個人に非はない」とした上で、
「東京都や愛知県の知事がジャニーズ事務所との契約に条件付きで『NO』を突きつける中、リスクを伴う吉村知事の判断はある意味、男気を感じさせるものでした。しかし、先日に発覚した公設秘書の二重報酬問題でもそうでしたが、対応がコロコロと変わる。ジャニーズの件についても、世間の反応を見てひっくり返す可能性は十分にあります。維新の会にはポリシーが感じられない。彼らの目的は政策の実現ではなく、選挙で勝つことです。だから今回のジャニーズの件にしても、ファンへの忖度とも受け取れる。極めて内向きな政党なので、海外の反応などは二の次で、目の前の選挙が最優先なのでしょう」
9月19日にはジャニーズ事務所が社名変更を検討していることがわかった。吉村府知事の対応に耳目が集まっている。