タイ政府がビザなし滞在期間を、現在の60日から30日に短縮する方針を発表した。タイの英字紙「バンコクポスト」が伝えたものだ。関係当局はこの措置を原則承認しており、正式発表に向けて詳細を詰めている段階である。
この決定の背景には、ビザランや不法就労を防ぐ目的がある。これまで外国人の間では、短期間出国して再入国を繰り返すことで長期滞在を可能にするビザランが一般的だった。しかし、こうした手法による滞在を制限するため、タイ政府は入国管理の厳格化に踏み切った。
加えて、日本人がタイでビザを取得することも、いっそう難しくなっている。とりわけ長期滞在や就労を希望する日本人にとっては、新たなハードルが課せられたことになるからだ。
従来、ビザ代行サービスを利用してビザを取得するケースが多かったが、タイ政府は日本人経営者を含むこうした代行サービスを取り締まる方針を強化しており、新たに飲食店などの事業を始めるためのビザ取得が困難になっている。
銀行口座の開設条件も厳格化されている。数年前までは旅行者でも比較的容易に口座を開設できたが、今は規制が強まった。既に開設済みの口座であっても、一定期間の入出金がない場合は凍結される動きが進んでおり、外国人の資金管理に影響が出ている。
これにより、日系の代理店をはじめとするビザ関連サービス業者への打撃は大きく、業務継続が困難になるケースが続々と…。
「確かに十数年前と比べて、閉業する代理店が増えています」(バンコクの旅行関連事業者)
日本人にとって、タイでの長期滞在はますます厳しい状況となりつつあるのだ。
今後もタイ政府の動向を注視しながら、適切なビザ取得や滞在方法を模索することが求められる。専門家の間では、「これまでの緩い制度が異常だった」との意見もある一方で、
「タイ経済に貢献する外国人までを締め出す可能性が出てきました」(タイ在住日本人)
との強い危機感が充満しているのである。