間もなく桜の季節。名所は日本各地にあるが、列車の車窓から桜を見られる鉄道はそれほど多くない。シーズンともなれば撮り鉄が足繁く通うのは、千葉県を走る「小湊鐵道」だ。
五井駅と上総中野駅を結ぶ小湊鐵道は、路線距離39.1キロの小さなローカル線。上総牛久駅から先は千葉の里山を走り、線路脇のあちこちで桜が咲いている。
中でも人気のポイントが、飯給駅(写真)だ。ホームの横に木があり、車窓のすぐ近くで桜を愛でることができる。駅周辺には菜の花も咲き、ピンクと黄色のコラボレーションはため息がこぼれるほど。夜にはライトアップされ、昼間とは違った顔を見せる。
満開が近くなるとホームの隣にある田んぼに水が張られ、水面に写る桜と列車を撮ろうと、多くの撮り鉄が集まる。
小湊鐵道は国鉄のキハ20系をベースとした「キハ200形気動車」と、JR東日本から譲り受けた「キハ40形」が走っている。どちらも古い車両で、レトロなルックスが人気。これらの車両と桜の水鏡の組み合わせが、撮り鉄のお目当てだ。
撮り鉄は昼間ではなく、日没直後の「マジックアワー」を狙う。天気がよく風もなくて桜が満開となる日は、年に1日あるかないか。そんな日には200人近くのカメラマンが集まることも。
他にも月崎駅や、上総大久保駅と養老渓谷駅の間にも、見事な桜の木が並ぶ。
ぜひ五井から上総中野駅まで乗り通して、桜を楽しんでほしい。夜の飯給駅は気温が下がるので、温かい服装をお忘れなく。
【小湊鐵道】
例年の見頃:4月初旬から半ば(写真は4月13日撮影)
桜ポイント:飯給駅・月崎駅・総大久保駅と養老渓谷駅の間
何度も乗り降りできる「1日フリー乗車券」(2000円)や、小湊鐵道からいすみ鉄道まで乗り通すことができる「房総横断記念乗車券」(2000円)を販売
(海野久泰)