群馬県の桐生駅と栃木県の間藤駅を結び、渡良瀬川に沿って走る「わたらせ渓谷鐵道」は、桜の季節に乗りたい路線のひとつだ。車窓から渓谷美を楽しめる同路線は1年を通じて人気だが、春はその中でも格別なのである。
桜は路線のあちこちで見ることができる。下り列車に乗って大間々駅を出ると、間もなく線路は渡良瀬川と並んで走る。このあたりから、桜の木が目に飛び込んでくる(写真)。
わたらせ渓谷鐵道は桐生駅から間藤駅までの標高差が約500メートルあり、桜の開花時期がずれるため、他よりも長い期間にわたって桜を楽しめる。そしてぜひとも乗りたいのが「トロッコわっしー号」と「トロッコわたらせ渓谷号」だ。
トロッコわっしー号は窓ガラスがない、オープンタイプの気動車。トロッコわたらせ渓谷号は同じくオープンタイプの客車2両と窓ガラス付きの普通客車2両を、ディーゼル機関車が牽引する。どちらもオープンタイプの席では、春風を全身に感じながら、桜を見ることができる。普通列車もレトロな雰囲気の気動車で、乗る価値は十分だ。
神戸駅では約300本の花桃が咲き、桜とは違った絶景が広がる。東武日光線で活躍した特急「けごん」の車両を利用したお食事処「レストラン清流」があり、当時の雰囲気を感じながら走る車両を見て食事ができる。群馬産の舞茸を使った料理は絶品で、神戸駅を訪れたら花桃とあわせて楽しみたい。
【わたらせ渓谷鐵道】
例年の見頃:3月末から4月中旬(写真は4月6日撮影)
桜ポイント:渡良瀬川沿線全域
トロッコわっしー号とトロッコわたらせ渓谷号は、4月から週末を中心に運行。何度も乗り降りできる「一日フリーきっぷ」(1880円)を販売
(海野久泰)