乗務員不足を理由とした路線バスの廃止・減便が相次ぐ中、本州で2番目の長さを誇る路線バスが、来年3月で廃止されると報じられた。
その路線は三重交通が運行する「松坂熊野線」。三重県松阪市と熊野市を結ぶ、約135キロにも及ぶ長い路線で、松阪市から大紀町までの乗客は多いが、以南が少なく、廃止の決定に至った。
長い距離を走る路線バスは、太川陽介らの「バス旅」番組(テレビ東京系)にとって欠かせない存在であり、それがなくなるのは大きな痛手となる。松坂熊野線も過去に「バス旅」で使われたことがあると、テレビ誌記者は言う。
「田中要次と羽田圭介の『バス旅Z』第15弾で利用しています。三重県度会郡大紀町崎にある『柏崎』バス停から乗車し、熊野市の『熊野市駅前』まで約60キロも乗り、ゴールまでの距離を一気に縮めました。この路線がなくなると、紀伊半島を舞台にすることはできなくなるでしょうね」
太川の「バス旅」以上に難しくなるとみられているのが、女性3人が旅する「ローカル路線バス乗り継ぎの旅W」だ。太川の「バス旅」は1泊2日で撮影されるため、スタートからゴールまでの距離が短くて済む。しかし、3泊4日の「バス旅W」はルートを長くとる必要があり、松坂熊野線のような長距離の路線バスがなくなれば、ルート設定は格段に難しくなる。
「最後の『バス旅W』が放送されたのは、昨年12月16日でした。それから6カ月近くが経ちますが、放送される気配がない。『バス旅Z』がおよそ3カ月おきに放送されていたことを考えると、異例の事態です。ルート設定に困っているのではないでしょうか」(前出・テレビ誌記者)
バス乗務員の不足はまだまだ続く見込みで、ローカル路線バスの廃止は今後、さらに増える可能性がある。「バス旅」にとって厳しい状況が続くのは間違いなく、人気番組の終了という事態も考えられるのだ。
(鈴木誠)