思い起こすに今年8月、お台場で開催された国産メタルバンドによる野外フェス「CRASH CRISIS」がガラガラだったと、SNSでちょっとした話題になっていた。
ちなみに出演リストを見ると、比較的最近のバンドとともにLOUDNESS、ANTHEM、SHOW-YA、聖飢魔Ⅱの創始者ダミアン浜田率いるDamian Hamada’s Creatures(しかもゲストボーカルとしてデーモン閣下が参加!)、人間椅子と、最もメタルが熱かった80年代から90年代初頭に名を馳せたベテランバンド(その元メンバー)が名を連ねており、「見たかったなぁ」とちょっと後悔もした。
ただ、ファンの高齢化が著しいメタルというジャンルのフェスを真夏の炎天下で…というのはどだい無理な話。あのサザンオールスターズだって、「高齢者にはキツイ」という理由で夏フェスを卒業したくらいなのだから。
さて、そんな「CRASH CRISIS」に参加していた、ベテランガールズバンドSHOW-YAが、10月1日の「芸能人格付けチェック」(テレビ朝日系)で熱い演奏を繰り広げた。それは「SHOW-YA VS平均年齢10歳のガールズバンド」というクイズだった。
AとBの2バージョンで演奏される「限界LOVERS」を、SHOW-YAのバンドメンバーによるものか、平均年齢10歳の小学生ガールズバンドによるものかを聴き分け、どちらが本物のSHOW-YAの演奏だったかを当てるというものだ。
さすがににボーカルが違うとわかってしまうので、歌はどちらも本物の寺田恵子が担当したが、解答者たちは「ニュアンスだったりフィルの雰囲気はBの方があった」「バランスが取れてる感じがした」「心臓にガッと来るものがあった」「Bの方がスネアとかの手数が多い気がした」などといった理由で、全員がBを選択。しかし、正解はAだったのだ。
間違えた面々はみな、SHOW-YAに謝罪していたが、いくらなんでもこれは失礼すぎだろう。
ただ…正直、「カチッとしっかりまとまったコピーバンドによる演奏」と「ベテランによる手慣れた演奏」の違いというのは「言われてみればわかるかな」というほどで、小学生の女の子たちがみんな凄腕だったのは事実だ。
そのSHOW-YAはというと、ハッキリ言って楽器陣よりも、寺田恵子のボーカルがかなり厳しかった。声に張りがないし、「Back to the fire!」の部分はシャウトもできていなかったのだが、考えてみれば無理もない、彼女たちはもうみんな還暦を迎えているのだから。小学生バンドの子達なんて孫みたいなもの。いくら「ロックをやってる人間は普通の人に比べて若い」なんて言われたって、かなわない「寄る年波」ってものがある。
が、嘆くことはない。たとえ衰えた部分があったとしても、SHOW-YAというバンドの素晴らしさと楽曲のカッコよさは色褪せないのだから。
SHOW-YAのロック魂は、体よりも大きいベースやギターを抱え、笑顔でこともなげに弾きまくり、幼さの残る指を鍵盤に走らせ、華奢な体躯をいっぱい使ってドラムを叩く小学生バンドの彼女たちが引き継ぎ、やがて新たな伝説のガールズバンドとなってくれることだろう。
どうかK-POPだのダンスミュージックだのに傾倒することなく、熱いメタルハートを持ち続けてこのまま立派に成長しますように、と切に願うのだった。
(堀江南)