歌舞伎俳優の坂東三津五郎さんが21日、すい臓がんのため都内の病院で亡くなった。59歳だった。2月7日には入院中ではあったが、坂東流名取試験のために一時帰宅し、NHKのインタビューにも応じていた矢先だっただけに、今回の訃報に関係者の悲しみも深いようだ。
ここで再度、囁かれはじめたのが「歌舞伎座の呪い」だ。2010年4月、旧歌舞伎座を閉場した翌11年1月に中村富三郎が死去したのをはじめ、同年11月には中村芝翫が、12年2月には中村雀右衛門も死去している。また、その8月には市川染五郎が転落事故を起こし、続いて12月には中村勘三郎が死去、そして13年2月に市川団十郎までが死去する。ここ数年だけで、梨園は相次ぐ不幸に見舞われているのだ。
そして、このたびの三津五郎さんの死去である。さすがに関係者やファンの間でも「やはり、歌舞伎座の呪いか‥‥」と、口にする者が後を絶たない。歌舞伎に詳しい芸能ジャーナリストはこう話す。
「今ある新しい歌舞伎座は、以前の劇場脇にまつっていた『歌舞伎稲荷』の上に高層ビルを建ててしまいました。ビルが邪魔でお社に降りられず、お稲荷さまが怒っているのでは、という声もあがっています」
かつて、新歌舞伎座に対して市川海老蔵は、「歌舞伎座の上には守り主がいる。後ろにあんな高いビルができたら、舞台の神様も降りてこないよ」と語っていたが、そんな海老蔵の暴行事件も旧歌舞伎座を閉場した7カ月後のことだった。
開場当時、株式会社歌舞伎座・総務部は「お祓いは済ませている」と発表しているが、歌舞伎界は新世代のためにも改めて対策を講じたほうが良さそうだ。