昭和を彩った名優・石原裕次郎(1987年没)の誕生日は、1934年12月28日。今年は生誕90年にあたる。
織田裕二主演のドラマ「踊る大捜査線」(フジテレビ系)では、北村総一朗、斉藤暁とともに「スリーアミーゴス」としてコミカルな役どころを演じた小野武彦が、裕次郎の「カッコイイ」エピソードを語ったのは、制作会社社長、著述家、映画監督など多彩な顔を持つ馬場康夫氏のYouTubeチャンネル〈ホイチョイ的映画生活~この一本~〉でのことだ。
小野は裕次郎に憧れを抱いて芸能界入りを志し、芝居を勉強するために、劇団「文学座」に入団。裕次郎と共演に至ったのは、刑事ドラマ「大都会シリーズ」(日本テレビ系)だった。小野は主演・渡哲也演じる刑事の先輩格にあたる、実直な刑事役である。小野が振り返る。
「『大都会』の忘年会かな、石原さんが部屋に呼んでくださったことがあって」
小野が文学座出身だと知っていた裕次郎が尋ねた。
「どういう舞台に憧れたの?」
「(憧れていたのは)舞台じゃなくて映画です。『ですから石原さんに…』と言ったら照れて顔が真っ赤になって、このセリフは覚えてるんです、今でも。『俺? ダメダメね。俺は憧れに値しない』って言ったんですよ」
これには馬場氏も驚嘆するばかりで、
「あなたに憧れなくて誰に憧れるんですか、って人ですけどね」
(所ひで/ユーチューブライター)