“マイトガイ”の愛称で知られ、歌手としても活躍を続ける大物俳優・小林旭。芸能生活65年、御年81歳YouTubeデビューしていた。1955年に第3期日活のニューフェイスに合格した小林氏は翌年、「飢える狼」で映画デビュー。その後、映画「渡り鳥」シリーズで人気を博し、故石原裕次郎らとともに日活の黄金時代を築いた。
58年には「女を忘れろ」で歌手デビュー。主演を務めた映画「ギターを持った渡り鳥」、「銀座旋風児(ぎんざマイトガイ)」で主題歌や挿入歌を歌いヒットさせており、俳優と歌手の二刀流で、まさにダイナマイトのような爆発力あふれる活躍ぶりだった。
そんな銀幕のスターが、YouTubeにかける意気込みとは果たして…?小林氏のYouTubeチャンネル〈マイトガイチャンネル‐小林旭公式YouTube‐〉、6月16日初投稿の〈小林旭、YouTubeはじめます。〉で、その思いを語った。
「昨今のテレビは垂れ流しでもっていい加減な事ばっかり言ってるじゃないですか。政治家もしかりですけど何もかも口から出まかせばっかりで、正直さがない」「真一文字に、真実一路じゃないけれども、真っ正直に仕事をしてきた信念というのをわかっていただけるような機会が持てたらなあという気がして、このYouTubeをひもといてみたいなと思います」
硬派に語り出した小林氏は、映画が黄金期と言われた昭和30年代の看板スターはみんな亡くなってしまったとも懐かしむように感慨深く語る。生き証人として昭和の素晴らしさを伝えていこうとの思いも強いようだ。
そして、7月1日投稿回の〈デビューの頃を想う。~今の小林旭が映画をやらないワケ~〉では、現在の芸能界を憂える小林氏が、大河ドラマや現代の歌舞伎界の姿勢に物申した。
昭和30年、第3期日活ニューフェイスに合格して日活に入社した小林氏は、将来の幹部候補とあってか、よく先輩役者からいじめにあっていたそうだが、当時「カミソリが歩いてくるようだ」と噂されていた通り、従来の負けん気から生意気にやり返していたとやんちゃな過去を振り返った。それでも歴史を紡いできた先輩諸氏を敬う気持ちは忘れていない。前述の故・石原裕次郎、故・勝新太郎といった映画黄金期を支えた大スターの偉大さを伝えることなく、流れるように扱うテレビの世界に疑問を抱いているようなのである。
「NHKの大河ドラマにしても遊び半分に現代用語に言葉を変えてしまって、素晴らしい時代劇を撮ろうったって、撮れっこない。時代は時代で歴史をきちっと刻んでいく、そういう素晴らしいお芝居をしていかないことにはダメなんだ」と語ると、歌舞伎の世界も憂えているようだ。
「バカみたいな扮装とメイキャップして、派手に舞台の中で動きまわればいいと思ってるんだったら大きな間違い。歌舞伎には歌舞伎のしきたりがあり、動きがあるんだ。振り付け1つで観客を十分堪能させる気持ちを与えることが、看板役者の必要なことだ」
そう、伝統を守るべく時代の流れに流されないようにと厳しく警鐘を鳴らしたのである。そして今の映画の作り方はどこか付け焼刃的で、本物志向が無いことから今の自分は映画をやらないのだと明言した。
〈23歳です。 YouTubeで小林旭さんの元気なお姿見れて嬉しいです。 貴重なお話ありがとうございます〉〈いや、こういうのが、みられるなんて、おもいもしなかった。おしゃべり動画、こばやしあきらだよ。これは、きちょうだ〉と若い視聴者らが新鮮な驚きを覚えて理解の気持ちを示す応援コメントも相次いだ。
小林氏が特に指摘したい歌舞伎界の看板役者とはいった誰か?もしチャンネルに招き激論を交わしてもらえるものなら…とも思ってしまう。いずれにせよ昭和の華やかなる銀幕の世界を駆け抜けた大スターが、令和の時代に見せるYouTubeとは?8月17日現在で6本の動画がアップされているが、マイトガイの活躍に大いに注目したい。
(ユーチューブライター・所ひで)