12月25日放送の「粗品と本田翼と信者たち」(テレビ朝日系)は、そのタイトル通り、粗品(霜降り明星)と本田翼がMCで、スタジオに招いた「特定ジャンルの熱狂的ファン=信者」に、推しへの熱い思いを語ってもらう、というものだった。
実は粗品と本田は過去に、ドラマ「絶対零度」(フジテレビ系)のシーズン4で共演している。そして粗品は「熱愛か」と周囲から訝しがられるほど、あのちゃんとの親交が深い。で、あのちゃんと本田は2019年放送の連ドラ「ゆうべはお楽しみでしたね」(TBS系)で共演してから、大の仲良し。
そんなこともあってか、MC2人のやりとりにギクシャクした雰囲気はなかった。ただ、この企画にはたして本田が適任だったかどうかというと、疑問だ。
「ばっさー」の愛称で男女問わずに親しまれ、ドラマにバラエティーにと活躍し、一時は「CM女王」と呼ばれていた本田。ところが2022年のドラマ「君の花になる」(TBS系)での演技が「見てられない」「共感性羞恥を感じる」などと散々な言われよう。このあたりから評価が急降下し、以降はドラマには出ているものの、主演はなくなった。
一転して「嫌われ者」になった理由は、以前にも書いたが、要するに「ゲームや漫画が好き」と公言して多くのオタクから支持を受けたにもかかわらず、年下研修医との熱愛が発覚(のちに破局)し、「ビジネスオタクだ」と批判を受けてそっぽを向かれた、というものだった。
「オタクは味方につけば力強いが、敵に回すとタチが悪い」と、本田は身をもって実感したことだろう。
それなのに「マニア」「オタク」と呼び方は違えど、同族である「信者」の聞き役になるというのはどうなのか。
番組が最初に取り上げたのは、「長渕剛」の信者。これはまぁいいとして、問題はその次の「テニスの王子様」の信者だ。というのも、本田はかねてから「漫画好き」を公言しており、とりわけお兄さんの影響で「週刊少年ジャンプ」を読んで育った、と明かしていた。
となれば、「週刊少年ジャンプ」に連載された「テニスの王子様」を一緒に熱く語るだろうと期待したのだが、信者が各々に、作中に登場する推しキャラへの深すぎる愛を熱弁するのに対し、本田は終始、冷ややかな態度をとっていたのだった。これには粗品が、
「ばっさーもアニメとかゲームとか好きやん。余裕であるんちゃう、こんなん」
本田もある意味で同族だろうと問うたのだが、
「ないですね。(アニメやゲームのキャラのような)手の届かない人に興味がないというか」
バッサリと斬り捨ててしまったのだった。
もっとも、漫画には様々なジャンルがあるわけで、「テニスの王子様」はハマらない作品だったのかもしれない。が、もしもここで本田が信者寄りの態度を示していたら、下落しきった彼女の評価が再浮上するきっかけになったのに、せっかくのチャンスを逃してしまったか、と。逃したオタク…いや、信者は大きい!?
(堀江南/テレビソムリエ)