フジテレビ夕方のニュース「Live News イット!」が絶不調だという。同時間帯の他局情報番組にはおろか、テレビ東京「孤独のグルメ」再放送にまで視聴率で負けたというのだから。
「孤独のグルメ」は確かに人気が高いが、2023年12月31日から「孤独のグルメ全話イッキ見! 過去作一挙放送」と題し、シーズン1から10を何度も何度もループしている。私などはあまり何度も見すぎて、最初の数分を見ただけで、何を食べるかわかってしまうほど。そんなこすりまくったドラマに負けるのだから、それこそ放送しても意味がないような…。ニュースなどやめて「Dr.スランプ」の再放送でも流したほうがいいのではないか。
で、「Live News イット!」不調の理由を考えてみた。もともと視聴率が低下していたフジテレビだが、中居正広氏と女性とのトラブルの対応の悪さで、スポンサーや視聴者がさらに離れたということもあろう。いや、それ以外にも原因がある。メインキャスター・青井実の存在だ。
NHKアナ時代に服務準則に反し、上司の許可を得ずに親族企業から役員報酬を得ていたというスキャンダルがあった。水面下では「移籍」が決まっていたのかもしれないが、視聴者にしてみれば、それがバレたら即退職し、間髪入れずに「Live News イット!」のメインキャスターに起用された、という印象がある。ご本人は「服務準則違反と退職は関係ない」と釈明していたが、どうしたって金持ちのボンボンが会社から注意されて「うっせぇな、面倒くさいから辞めるわ」となったように映ってしまう。
テレビを見ていて、個人的に「青井実って他人の気持ちを汲めないのかな」と感じたことがあった。それはまさに「Live News イット!」のメインキャスターに就任した初日、2024年4月1日放送での出来事だ。
この日は、能登半島地震から3カ月が経過したということで、石川県輪島市の現状をレポート。すると番組終盤、ある被災者のお宅とスタジオの中継が繋がった際に、青井が「足りないものとか必要なものは?」と質問。これに被災者は「お風呂に入りたい」と答えた。いまだ水道復旧が進まず断水が続く、現地の状況を伝えていたのだ。
ところが、それからほどなく迎えた番組のエンディング。初日の感想を聞かれた青井はこともあろうに、「ゆっくりお風呂に入ります」と答えたのだ。それぐらい「疲労した」と言いたいのだろうが、つい先ほど、被災者の「断水のせいで叶わないけれども、お風呂に入りたい」という悲痛な訴えを聞いていたのにもかかわらず、よくもまぁこんなことを言えるものだと、アキレ返ってしまった。
青井にしてみれば、フジテレビがこんなことになるのなら、NHKを辞めなきゃよかった、と内心、後悔しているかもしれない。その上、打ち切りなどという事態になったら、目もあてられない。
いや、おぼっちゃまにしてみれば、そんなことなど痛くも痒くもないんだろうけど。
(堀江南/テレビソムリエ)