球団創設90周年を迎えた阪神が、早くも不穏なムードに包まれている。順位こそAクラスを維持しているが、ここまで本拠地の甲子園で2勝7敗と苦戦。藤川球児監督がイラ立つのは当然だろう。
甲子園での広島戦(4月20日)では、一触即発の場面があった。8回、一死一・二塁の場面で、坂本誠志郎が頭部死球を受けたことに激怒。坂本はすぐに立ち上がり「気にすんな」という表情を見せたが、藤川監督だけがブチ切れ状態で、あわや乱闘寸前となった。
「昨年、阪神は広島とDeNAからそれぞれ15個もの死球を受けています。これは阪神打線への警戒の裏返しでもありますが。星野仙一監督がかつて、選手のモチベーションを高めるため、乱闘騒ぎになると先頭に立ってファイティングポーズを取った姿を思い出しましたね」(スポーツ紙デスク)
藤川監督の感情的な行動にはチームの士気を高める意図があった、という可能性は否定できない。だが、イライラの背景にあるのは、甲子園で勝てないこと、そして打順の早期入れ替えにも表れているのではないか。
藤川監督は開幕前から「4番・森下翔太」を明言し、実際に4番に据えて新生阪神をスタートさせたが、4月12日の中日戦に敗戦すると、わずか14試合目で3番・佐藤輝明と打順を入れ替えてしまった。
「そもそも森下の4番起用は、岡田彰布前監督の体制下では考えられなかったこと。報道向けのネタ不足の中で、藤川監督が独自に考案したクリーンアップだったわけですが…」(スポーツ紙記者)
この打順変更により森下は復調したものの、掛布雅之OB会長は「打順を崩すのが早すぎる」と懸念を示している。
さらに4月19日、広島に0-3で敗れた試合では、木浪聖也がまさかの1試合3失策を記録。藤川監督は「使っている方が悪い。こちら(監督)の責任。甲子園での戦い方を選手たちも含めて見直す必要がある」と厳しい言葉を口にし、翌日には木浪をスタメンから外した。
その20日は8-1と快勝したが、藤川監督については「意外に短気」との指摘が。指揮官としてホームゲームへのこだわりは当然のことだが、藤川流はこの先、どんな成果を出すのか。
(小田龍司)