正捕手としてロッテを日本一に、侍ジャパンを世界一に導いた里崎智也。現在はYouTubeチャンネルでの野球解説が大人気だ。巨人のリーグ連覇を信じて疑わない天才テリーだったが、まさかの予想に暴発寸前!? 大谷翔平、佐々木朗希ら日本人メジャーの活躍も占った。
テリー 本を読ませていただきました。「令和プロ野球ぶっちゃけ話」。
里崎 ありがとうございます。本当のことだけを好き勝手に書きました。江本(孟紀)さんの跡を継いでいこうと(笑)。
テリー 僕ね、「そうか」と思ったのは、この中で「打てるキャッチャーがいい」って言ってますよね。
里崎 僕はもうずっと言ってます。野球で一番大事なのは、大げさに言えば「打つことだけ」「打てないから守備や走塁を頑張らなきゃいけない」という。投げられない、捕れないだと話が変わるんですけど、ある程度の守備力があれば、打てる選手が歴史上試合にずっと出続けるので。みんな「守備とかリードが大事」って言うんですけど、「じゃあ、いいリードの定義って何ですか」っていう。僕、誰からもいいリードの定義を聞いたことないんですよ。
テリー 野村(克也)さんとか、名キャッチャーと呼ばれた人はいろいろいたけど。
里崎 でも、「これをやったら確実に抑えられるよ」ってないんで。みんな結果を見て、「あれはああじゃなかった、こうじゃなかった」って文句言ってるだけで。極端に言えば、もしピッチャーがすごくよかったら、キャッチャーがほぼ何もしなくても抑えられるじゃないですか。
テリー 例えばピッチャーとの相性とかっていうのはありますよね。
里崎 ないですよ。
テリー ないの!?
里崎 絶対的なキャッチャーがいないから「相性がいい」とかっていう曖昧な表現で起用されてるだけで。
テリー でも、精神的な安定はありますよね。
里崎 選択になるのであると思うんですけど、誰でも一緒なんで。絶対的に神様みたいなのが1人いたら、相性もへったくれも、全員が合わせなきゃいけないんで。
テリー 僕は巨人が好きなので、巨人の話になりますけど。今回、甲斐(拓也)が入りましたよね。しかも阿部監督が自分の背番号10番を渡したじゃないですか。あれって、どうなんですか。
里崎 僕はもう甲斐は野球人生で自分の存在価値が一番試されるシーズンになると思ってるんです。その理由は、「甲斐がいたからソフトバンクが強かったのか」「ソフトバンクが強かったから甲斐も評価されているのか」がハッキリしてしまうから。甲斐がいなくなったソフトバンクが、もし海野(隆司)や嶺井(博希)とか他のキャッチャーで優勝したら、「甲斐の存在はそこまで大きくなかった」になるじゃないですか。
テリー ま、そうですよね。
里崎 もちろん甲斐の存在がまったく意味なかったとは言わないですけど。逆に去年の巨人は甲斐がいなくても岸田(行倫)、大城(卓三)、小林(誠司)でリーグ優勝はしてるわけだから、今年もし甲斐が来て優勝できなかった場合、岸田、大城、小林のファンは、「甲斐じゃなくてこっち使え」ってなるわけじゃないですか。甲斐が一番幸せなのは、ソフトバンクがリーグ優勝しないでジャイアンツが日本一になることでしょうね。最低でもジャイアンツで優勝しないと、甲斐の存在意義は根底から崩れると思います。
ゲスト:里崎智也(さとざき・ともや)1976年、徳島県生まれ。鳴門工業高校、帝京大学を経て、1998年、千葉ロッテマリーンズ入団。2005年、チームの日本一に貢献。2006年のWBCでは正捕手として日本を世界一に導き、ベストナインに選出。2008年、北京オリンピック日本代表に選出。2010年、レギュラーシーズン3位から日本シリーズを制覇し、「史上最大の下剋上」と呼ばれた。2014年、現役引退。2019年に開設したYouTubeチャンネル「Satozaki Channel」は登録者数80万人を超える。新刊「令和プロ野球ぶっちゃけ話 球界ニュースの見方が180度変わる本」(清談社Publico)は3月20日発売。