「2035年までに第三次世界大戦が勃発する」。先日、米国の研究機関「大西洋評議会スコークロフト戦略・安全保障センター」が発表したレポートによると、専門家の実に40.5%が今後10年以内に世界大戦が起こると予測したのだ。
この衝撃的な見通しについて、国際ジャーナリストの山田敏弘氏は、このように分析する。
「米国ファースト主義を貫くトランプが大統領に再就任したことで、対立する中国や南米、中東諸国だけではなく、欧米諸国からも反米の意識が高まっています。しかも、トランプは冷戦期にソ連の脅威に対抗するために設立された軍事同盟『NATO(北大西洋条約機構)』からの脱退も示唆するなど、西側諸国の調和が乱れつつあるんです」
これまでの歴史を振り返ってみても、世界各地の紛争や武力衝突が偶発的に点と線でつながり、やがて世界大戦へと発展している。
「ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢もいまだに不透明な状態。自国の利益のみを最優先するトランプの自由奔放な言動により、世界秩序のバランスが崩れています。自分たちの利害でますます動くようになると、世界各地で起きている紛争が種火となり、一気に第三次世界大戦へと発展する可能性はあるでしょう」(前出・山田氏)
トランプ本人も2月に行われた会合演説において、第三次世界大戦について言及し、「そう遠くない」と警告しているが、そのトリガーとなりうるのが中国による「台湾侵攻」だという。
「中国の国家主席・習近平はかねてより台湾統一に強い意欲を見せており、米国政府も『2027年(人民解放軍創設100周年)までに米国の介入を阻止できる軍の態勢を整えようとしている』と公表しています。具体的には、北京市西部に米国・国防総省(ペンタゴン)の10倍以上ともいわれる巨大軍事司令部の建設のほか、新疆ウイグル自治区の砂漠に米軍空母のレプリカを設置して軍事演習を行うなど、台湾侵攻に向け、中国人民解放軍の強化・整備を急ピッチで進めています」(前出・山田氏)
第二次世界大戦の終戦から80年が経過するが、台湾有事が引き金となり、本当に第三次世界大戦が勃発したら、具体的には、どのような戦闘が繰り広げられることになるのだろうか。前出・山田氏が解説する。
「電波を妨害することで、ドローン攻撃やGPSなどの基盤となっている通信インフラ全般を麻痺させる技術をジャミングと呼びますが、相手の出はなをくじくにはこのジャミングが最も効果的です。そのため、いきなりミサイルが発射されるのではなく、まずは相手の通信・偵察衛星を標的にした攻撃を仕掛けるなど、宇宙・サイバー空間において熾烈な攻防が繰り広げられ、その後、物理的な軍事衝突へと発展するはず」
戦局が悪化するにしたがって、日米安保条約を結び、米国と同盟関係にある日本にも多大な影響が及ぶことは必至だ。
「最前線の拠点となる沖縄の米軍基地に核ミサイルが飛んでくる可能性はあります。また、サイバー攻撃により、飛行機、新幹線などの交通、金融システムが壊滅状態となり、日本経済がストップすることも想定できます。さらに、中国は『国防動員法』を発動し、日本に在留する中国人が各地で破壊活動を始め、すでにチャイナタウン化している東京・池袋北口周辺などでは、放火や略奪が繰り広げられ、阿鼻叫喚の地獄絵図となるかもしれません」(前出・山田氏)
第二次世界大戦の比ではないだろう。再び日本は焼け野原になってしまうのか。