インターネットラジオの普及で、今や地域や時間(一部有料)を選ばずに好きなラジオ番組が聴けるようになった。1日平均12時間をラジオ聴取に充てているラジオコラムニストのやきそばかおる氏に「アサ芸読者が聴くべき番組」をセレクトしてもらった。
やきそば氏が真っ先にプッシュするのが「リリー・フランキー『スナック ラジオ』」(TOKYO FM)だ。
「リリーさんのトークの運び方がとにかくうまいんです。モデルとか女優の20代の若い女性が、『過去にこんな男と付き合った』とか相談を持ちかけて、リリーさんがアドバイスを送ったりするんですけど、コメントが表面的でなく、本質を突いているんです。『ダメなものはダメ』って。タイトル通り、スナックの会話を盗み聞きしているような感覚ですかね。今の女性の恋愛観とか価値観がよくわかるんです。だから『会社で部下の女性が何を考えているかわからない』なんて悩みを抱えている50代以上のアサ芸読者の方は、ぜひ聴いてほしいですね」
放送は土曜日午後4時。〝リリー語録〟で女性とのコミュニケーション能力を高めてほしい。次に挙げるのが、同じく土曜日夕方にオンエアされる「純次と直樹」(文化放送)。「テキトー男」こと高田純次(78)と人気漫画家・浦沢直樹氏(65)がパーソナリティーを務めている。
「もともと高田さんが浦沢作品の大ファンだったことをきっかけに始まった番組で、ポイントは浦沢さんの選曲。バンド活動をしていたこともあって、ロックの名曲がバンバンかかり、それに伴う解説も充実。一方の高田さんも人生相談コーナーで『奥さんとうまくいってないんです』みたいなリスナーからの相談メールに『俺に相談したら人生最期だよ』とか言いながら高田さん風に回答していく。音楽とトークのバランスが絶妙で、音楽好きな中高年の方にはぜひ聴いてほしいですね」
アプリのタイムフリー機能やポッドキャストの普及で、夜ふかししなくても深夜ラジオが手軽に楽しめるようになった。続いてプッシュするのは、水曜深夜3時スタートの「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)」(ニッポン放送)だ。パーソナリティーはテレビプロデューサーの佐久間宣行氏(49)。
「職場で年齢が10も20も違う部下とのコミュニケーションに不安を感じている人はぜひ! 佐久間さんは女性誌で人生相談の連載を持っていて、働き方とか人との付き合い方についてアドバイスを送っているんですね。番組作りのエピソードを聴いていると、彼がどれだけ人のことをよく見ているか、そしてどうやって人を生かすか、ということを常に考えているのがわかる。どうやったら佐久間さんみたいに若いスタッフと一緒になって頑張ることができるんだろう。そんな視点で聴いてほしいですね」
何かと気分が沈みがちな日曜の夕方6時から放送されているのが「UR LIFESTYLE COLLEGE」(J-WAVE)。
「ナビゲーターの吉岡里帆さんが16年から続けている番組で、ゲストの多彩な顔ぶれが特徴。美輪明宏さんや作家の町田康さんといった普段はあまりラジオに出ない大物が来たり、かと思えばカレーが大好きなマニアや縄跳びの専門家とか、いろんなジャンルの人をゲストにお招きするのですが、吉岡さんがとにかく聞き上手。相手のことをとことん調べてからトークに臨んでいるのが伝わってくるんです。吉岡さんのマジメさと優しさがよく表れている番組ですね。日曜日に何もしないで過ごしても、夕方6時から吉岡さんの声を聴くと、『ああ、いい日曜の夜を過ごせそうだな』って思えるんですよ」
ラジオの話は尽きない。やきそば氏は他にも大阪の「それゆけ!メッセンジャー」(MBSラジオ)、沖縄の「ラジオBar南国の夜」(琉球放送)などなど、地方局制作の番組を挙げる。今回の推薦リストを参考に、ラジオ生活を楽しんでほしい。