●ゲスト:ゴルゴ松本(ごるご・まつもと) 1967年、埼玉県生まれ。1990年、アパートの隣り部屋に引っ越してきたレッド吉田と出会い、1994年「TIM」結成。芸名の「ゴルゴ松本」は新人時代に、マンガ「ゴルゴ13」をモチーフにしたネタをやっていたことに由来する。「命」や「炎」など漢字を形態模写する一発ギャグで人気に。現在、「BSイレブン競馬中継」「うまナビイレブン」(ともにBS11)などにレギュラー出演中。2011年から少年院で“命の授業”と題したボランティア活動を始め、2015年にはこの活動をまとめた著書「あっ!命の授業」(廣済堂出版)を出版した。
「命!」のポーズでおなじみのTIM・ゴルゴ松本。バラエティ番組などで活躍する中、全国の少年院で「命の授業」をボランティアで実施。自己流で漢字の解釈を語るその熱い内容が大きな反響を呼んでいる。その真摯なメッセージ、漢字・歴史に対する博識ぶりに、天才テリーの胸も、熱い「炎」がメラメラ燃える!?
テリー この前出た「あっ!命の授業」っていう本、もう11万部を突破したんだって? 本が売れないご時世に、すごいじゃない。
ゴルゴ ありがとうございます。自分が本を書くことになるなんて、想像もしていませんでしたけど。
テリー そもそもTIMというコンビは「命」とか「炎」といった漢字のギャグで人気になったわけだけど、昔からこの本に書いたような漢字のウンチクは持っていたの?
ゴルゴ 興味があっていろいろと調べてはいましたね。だって、漢字って不思議じゃないですか。
テリー へえ、どういうところが?
ゴルゴ そもそも文字っていうのは、本来見えないはずの「言葉」を見えるようにした、すごい発明なんですよ。中でも、漢字のもとは三千四~五百年前に発見された象形文字だと言われているんですが、そんな昔のものが現在まで残っていて、まだ使われているということは、何かそこには秘密があるな、と。
テリー 昔から山田さんとか田中さんとか、名字に「田」がつく人は、先祖が農家だとか言われてるよね。
ゴルゴ ああ、そういうルーツもおもしろいですね。テリーさんの「伊藤」には「藤」が入っていますけど、これはもともと「藤原氏」の「藤」なんです。で、「伊」は「伊勢」の「伊」。だから伊藤は「伊勢の藤原」という意味なんです。同じように加藤さんは「加賀の藤原」、遠藤さんは「遠江の藤原」。
テリー すごいね、スラスラ出てくる(笑)。じゃあ名前の「輝夫」は?
ゴルゴ 「光」を「運ぶ」で「輝く」ですよね。本当は「軍」ですけど、しんにょうを付ければ「運ぶ」。だからテリーさんは「光を運んで輝く」男なんです!
テリー 名前をほめてもらってありがたいなぁ(笑)。そうやって、漢字にオリジナルの解釈を与えていくんだね。
ゴルゴ そうなんです。漢字って時代に合わせて省略されたり、どんどん変化していくものですから、今の時代に必要な解釈のしかたもあるのかな、と。例えば中国の文献を読んでみると「これはこういう意味だ」とか書いてあるんですけど、「それは中国人には当てはまるかもしれないけど、日本人には当てはまらないな」なんてことがあって。だから、そこに自分なりの解釈を加えてアレンジしていく感じですね。僕は学者じゃありませんから、そのあたりは自由にやってます。
テリー この本を読むと、そういうちょっと強引な解釈も含めて「なるほど!」と納得したりして、おもしろいんだよね。
ゴルゴ さっきテリーさんが言った「ありがたい」もそうです。漢字で書くと「有難い」。人生にはできるだけ「難」はないほうがいい。ただ、難がない人生というのは「無難」なんです。で、「難がある」のが「有難い」。
テリー なるほどね!
ゴルゴ 日本人は直面した「難」から何かに気づくことで、それを感謝の気持ちに転換してきたんです。これは僕の解釈じゃなくて、昔からお坊さんとかが言ってきたことみたいですけど。
テリー しかし、ホントに漢字が好きなんだね。
ゴルゴ 世間にあふれている漢字を見ると、透明人間になって女風呂に入ってるような感覚ですね、ウハウハです。
テリー じゃあ、香港なんか行ったら大変だ(笑)。
ゴルゴ 漢字だらけですからね。我ながら、安上がりに興奮できます(笑)
<続きは週刊アサヒ芸能7/16号に掲載>