橋下徹氏(47)がツイッターで〈大疑獄事件と疑われるのは仕方がない〉とまで言う今回の騒動を演出する籠池氏に関しては、「塚本幼稚園」での極端な教育方針も波紋を呼んでいる。
「教育勅語を重視し、在日韓国人や朝鮮人を排斥するなどの右翼的思想。本をただせば副園長の夫人に叩き込まれたものですが‥‥」
顔をしかめてこう語るのは、かつて塚本幼稚園に勤務した元教諭である。
香川県生まれの籠池氏は関西大学を卒業後に奈良県庁に就職。79年に諄子夫人と結婚後、筋金入りの右翼思想を持つ夫人の父親が初代園長を務めていた塚本幼稚園で副園長となる。義父が没してからは園長に就任し、理事長も兼任するようになった。前出・元教諭は言う。
「2人(籠池夫妻)の意思こそ絶対。職員には何一つ権限がないんです。例えば、父兄から寄せられた苦情はどんな小さなものでも、諄子副園長か籠池理事長に報告しなければなりませんでした」
クレームに対し、諄子夫人は直筆のメモや手紙で対応していたが、「韓国人はウソつきだ」という民族差別や恫喝まがいの内容ばかりだったという。
「園児の送迎バスが幼稚園に到着するや、副園長が鬼の形相で、同乗していた教諭をいきなりどなりつけるんです。『あなたなんか辞めなさい』『あなたは韓国人ですか』と。教諭たちも『原因なんて、まったくわかりません』と言っていました。とにかくただただ理不尽で、夫妻で『担任の権限はあなたにない!』と面罵することもあった。園児も皆、おびえた表情をしていました」(子供を通わせていた保護者)
こうした教育方針と対立する家庭には、容赦なく退園処分が下されたという。とはいえ、
「園児は簡単にやめられるだけ、マシなのかもしれません」
と、前出の元教諭は深いため息をつく。日夜、籠池夫妻のご機嫌を伺い、公然と罵倒されることでノイローゼ気味になる職員が続出。だが、退職を申し出ても許可が下りることはめったにないという。
「英会話や剣道といった、ハイレベルなカリキュラムがあり、教えられる教諭が限られていますからね。ところが、給与は私立幼稚園の平均よりも安い。こうした教諭の負担を籠池夫妻は理解しようとせず、罵倒し続けるだけです。身も心も疲弊しきっても逃げることが許されない中、ある日突然、連絡がつかなくなる。つまり、失踪です。こうした教諭が次々と出ました。父兄は『あぁ、また飛んだのね』とアキレていますよ」(前出・元教諭)
そんな犠牲の上に成り立っていた、ゆがんだ「愛国教育」もまた、異常と言うべきものだった。