これら異例な事態を支えていたとされるのは、同学園の籠池泰典理事長(64)の「政界人脈」。国会で「9割引き」問題が取り上げられると、土地取得に際しての「口利き疑惑」が浮上した。3月1日、鴻池祥肇参院議員(76)は籠池氏との「接触」を認め、籠池氏が土地評価の減額や早期結論などを求め、「厚みのある封筒」を差し出したと明かし、大騒動に発展したのだ。自民党議員が言う。
「籠池氏と国会議員の主要なパイプ役を務めたのが、元大阪府知事の太田房江参院議員(65)だとされています。当初、平沼赳夫氏(77)を紹介したところ、感激した籠池氏が『他の大物につないでくれないか』と頼み込んだ」
その「大物」こそが、国会を揺るがせている安倍晋三総理(62)の昭恵夫人(54)なのである。くだんの瑞穂の國記念小學院のサイトに昭恵夫人が「名誉校長」として登場し、次のように挨拶しているのだ。
〈籠池先生の教育に対する熱き想いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきました。瑞穂の國記念小學院は、優れた道徳教育を基として、日本人としての誇りを持つ、芯の通った子どもを育てます〉
だが、この事実が国会で大問題になり、塚本幼稚園で講演も行っていたことが判明すると慌てて名誉校長を辞退し、サイトからも記述は消えた。
当然ながら、籠池氏と昭恵夫人の「深い関係」は、安倍総理にも飛び火。瑞穂の國記念小學院が「安倍晋三記念小学校」の名前で寄付を募っていたのだ。安倍総理は国会答弁で、籠池氏とは「会合やイベントで何度かご一緒したことがある」と語ると同時に、塚本幼稚園を訪れたことは否定。ところが籠池氏は、月刊誌「致知」15年4月号で〈安倍総理には当園に足を運んでいただいたこともあり〉と語るなど、総理の答弁と食い違いを見せている。
こうした籠池氏の「政界ルート」には、次男・照明氏(29)も関与していた。
「あんなフザケた人間を置いていたのは、党上層部とつながっているからだ」
と憤るのは、大阪維新の会の府議である。15年11月の府知事選、大阪市長選のダブル選挙中のこと。照明氏は維新公認の吉村洋文氏(41)=現大阪市長=陣営に接触し、選挙協力を申し出たという。府議が続ける。
「とはいえ、次男の悪評は広く流布していた。籠池一家に借りを作りたくないこともあって断ると、なんと対立候補で自民党推薦の柳本顕氏(43)についた。で、選挙が終わると、また維新陣営に戻っているんだよ。維新のメンバーには『うちの上(松井一郎代表)と籠池氏は仲がいいからね』とヤユする人間までいるね」
照明氏のブログには職歴として、日本維新の会・足立康史衆院議員(51)の私設秘書との記述があるが、足立氏は全面否定。
「このほかにも名刺交換した市議や府議に片っ端から電話をかけて自分が『安倍総理の要請で次の国政選挙に出馬する』『中山泰秀大阪府連会長(46)から次の市長選への出馬を打診された』と票集めを依頼している。もちろんそんな事実はなく、総スカンですよ」(前出・府議)