性犯罪の被害者となった女性の手記を映像化した映画「私は絶対許さない」が、4月7日より全国公開される。性犯罪被害者は、そのトラウマや周囲の反応などにより、直接的な後遺症以上に人格、人生がどう変わっていくのかを、精神科医でもある和田秀樹監督が被害女性の主観撮影で映画化した意欲作だが、一方で、作品中のかなりの部分を占める性的な行為のシーンに、ともに新進女優の平塚千瑛と西川可奈子が体当たりで挑んでいる。
西川が映画前半、少女時代の主人公・葉子役、後半の整形後の葉子役を平塚が好演。そして、1992年のドラマ「ずっとあなたが好きだった」(TBS系)でマザコン男・冬彦を怪演し、「冬彦さんブーム」を巻き起こした佐野史郎が、服を脱いだ平塚との濃厚すぎるカラミを何度となく熱演しているのである。
衝撃の内容を一部公開すると、冒頭、西川扮する15歳の葉子は、元日、雪降る東北の田舎町の駅前で寒さに震え、母親の迎えを待っているところを地元の不良たちに拉致され、一晩中、性的暴行を受け続ける。が、ようやく解放され帰宅しショックから被害のことを言えずにいる葉子の気持ちをよそに、厳格な親たちに連絡なしで外泊したことを咎められ、虐待に近い扱いを受ける。いつしか葉子は割り切った形で地元ヤクザの交際相手となり、何度となくベッドをともにする。そして、貯めたお金での大学進学を機に単身上京。すべてをリセットすべく全身整形をした葉子(平塚)は、トップレスでサービスをする夜のお店でバイトするようになる。
ある夜、店に取引先の接待で連れて来られたと言って、IT企業社長の雪村(佐野)が現れる。なぜか店では葉子のサービスを受けないという雪村は、葉子と同じ東北出身ということもあり、意気投合。葉子を泊りのデートに誘いだすが、それでも、雪村は体を求めない。
「お願いです。ちゃんと抱いてください」
ついには葉子のほうから、懇願し、結ばれる2人。ところが、雪村はしだいに葉子を束縛し始め、メイド服姿にさせて「ご主人様」と葉子に言わせながら、行為に及んだり、他の男と関係したことを疑い、浴室で下腹部のヘアを急に剃り出したりする。一方の葉子も、精神の均衡を保とうとするかのように、男性向けの夜のサービス嬢となったり、行きずりの女性に声をかけられ、カップルに加わる形での3人でのベッド行為に及ぶといったバイトをする。こうしたシーンの数々を西川、平塚ともにバストトップも露わにしながら演じているのだ。その迫力はまさに「息を呑む」という表現がふさわしい。
物語終盤では摂食障害や心の病を乗り越えながら、葉子は、介護の世界に活路を見出し、看護師となる。それでも、「性の不思議さ」を思い知らされるような衝撃のラストが待っている2時間弱の同作品。長尺を感じさせない濃度であることは間違いない。