今だからこそ言える話なのだろうが、言わないほうが本人のためだった。
スキージャンプ界の“レジェンド”葛西紀明が4月1日放送の「スポーツ 天国と地獄~今だから話せる!あの名場面のウラ側~」(TBS系)に出演。同じスキージャンプ選手で、06年に現役を引退している原田雅彦氏との因縁を明かしている。
2人の間に亀裂が生じたのは94年のリレハンメル五輪でのこと。2人はともに日の丸を背負い、団体戦に出場。日本のエースであった葛西は大ジャンプを記録し、最後のジャンパーである原田を残して、金メダルをほぼ決定づけるも、原田が世紀の失敗ジャンプをしたことで日本は惜しくも金メダルを残し、2位に甘んじた。そのため、葛西は「99%金メダルを獲ると思っていた」「(原田は)先輩でしたけど、蹴っ飛ばしてやりたいぐらいの気持ちでいました」と、本音を吐露。
逆に原田はこのことについて番組スタッフから聞かれると「申し訳ないっていうことでは済まされないですよね。これから逃げられないってことを痛感していますので、一生償えないと思って…」と、神妙な面持ちで語っており、原田の心にも大きな傷として残っていたようだ。
しかし、2人の因縁はこれだけでは終わらない。次こそは金メダルをと! 98年開催の長野五輪に向けて、トレーニングに励んでいた葛西だったが、大会1カ月前にウォーミングアップでサッカーをしていたところ、運命のいたずらか、原田に蹴られて、左足首を負傷。その後、葛西はケガの影響で調子が上がらず、団体メンバーに入ることができなかったが、皮肉なことに同五輪で原田が大ジャンプを決める大活躍を見せたことで、日本は大逆転で史上初の団体優勝に輝いている。
ただ、その原田のジャンプ中に葛西は「『落ちろ~!』と叫んでたんですよ」と、応援していたことを初告白。さらには「何ちゃっかり金メダル獲ってるのって感じでした」と、当時は恨みに恨みまくっていたことを説明している。
そのため、番組を見ている側からすれば、複雑な気持ちになるVTRだっただけに、視聴者からは「普通、それをテレビで言うか? 原田が可哀想」「葛西の人間性を疑う」「全然いい話に聞こえない」「団体メンバーに入れなかったのはケガのせいじゃなくて、実力だろ。平昌でも言い訳してたよね」など、葛西への批判が集まっているようだ。
「長野五輪で1番悔しい思いをしていることもあって、いまだに勝ちたいという気持ちを原田のおかげで持ち続けられていると葛西は説明。最終的には美談でまとめられていましたが、さすがに全日本国民が応援しているホーム開催の大舞台で、仮にもチームメイトが『落ちろ~』はインパクトが強すぎますよ。原田は葛西に優しさから金メダルを見せなかったということですが、それだけ葛西が恨みを前面に出しているのですから、原田がよほど鈍感でなければ、そりゃ金メダルなんて出せませんよ」(エンタメ誌ライター)
負けず嫌いなこともアスリートにとっては大事なことだとは思うが、今回の番組で葛西のイメージがかなりダウンしてしまったことは確かなこと。その負けず嫌いな部分は今後あまり表に出さない方が本人のためだろう。
(権田力也)