「こんな時期ですから、ほとんど来てないですね」。昭恵夫人が経営する、1本450円の串焼きや1皿600円の板わさを提供する高級居酒屋の店員は客にこう説明している。夫の政権を破壊しかねない各種団体との交流が問題となった、うかつなファーストレディはただいま雲隠れ中。名誉職をいともやすやすと引き受ける彼女のトンデモ流儀を探った。
まるで進展を見せずに消化不良で終わった、佐川宣寿前国税庁長官(60)を召喚しての「アベ森友国会」。解決のカギを握ると言われる「アッキー召喚」を巡り、与野党が激しいつばぜり合いをする中、3月28日の参議院予算委員会の答弁で、安倍晋三総理(63)が、騒動の発端になった昭恵夫人(55)が務める「名誉職」の件数を公表した。自民党関係者が苦笑する。
「当の昭恵夫人本人が、『えっ? 私、55件もやってたの?』と驚いていたといいます。要するに、自分でもどこに行って、何をやったか、まったく把握できていないということですよ」
ファーストレディとしてはあまりに不用意な管理能力に驚くばかりだ。55件の内訳に目をやると、もはや説明不要の「森友学園」「加計学園」を筆頭に、「山口県なぎなた連盟」のようにわかりやすく一般的な団体もあれば、名前を一見しただけでは何をやっているかわからないものもある。現時点での昭恵夫人の関わりについて各団体に確認を取ろうと試みても、すでに電話が不通であったり、何度かけても話し中で、存続や活動実態が不明の団体も少なくないのである。もはやあきれ果てた様子の自民党関係者が続ける。
「昭恵夫人は、よく言えばフットワークが軽く、悪く言えばおっちょこちょいで、どこにでも顔を出す人。呼ばれれば大した事前チェックもせずにイベントやパーティーにホイホイ出かけて、その場で仲よくなってすぐに何でもOKを出してしまう『名誉職マニア』の気がある。特に農業やスピリチュアル、女性の地位向上系の団体など、自分が興味があるジャンルには目がありません」
タチが悪いのは、森友学園同様に、政権を揺るがしかねない「スジ悪」の団体も複数紛れていたことだ。さすがに見返りの金銭授与はないようだが、新たな「忖度」が発覚すれば大問題である。
そこで調べた中でも、特に怪しげな団体を4つあげよう。1つ目は「おなごの会」という。「おなごの会」とは、「アースキーパークリスタル協会」という団体が主催する「世界14万4000人の平和の祈り」なる大規模イベントの説明会に当たるもののようで、16年に開催された。昭恵夫人は名誉会長を任されている。
いったい「アースキーパークリスタル協会」とはどのような団体なのか。公式サイトに掲載された、代表者のメッセージを引用すると、
〈アースキーパークリスタルは、世界に12個存在していると言われている巨大な水晶です。地球と宇宙の記憶を保持していると言われています〉
〈2007年アースキーパークリスタル『Pちゃん』は、日本にやってきました。(中略)教会では『Pちゃん』を中心に太古の英知の研究や(中略)『人を癒し・意識の変革を促す理想郷』の実現を目指します〉
ナルホド‥‥と言いたいところだが、何度読んでもよくわからない。他にも「宇宙のプレアデス星のメシアメジャーさんからメッセージを受け取る」という人物の悩み相談イベントや、クリスタルを囲んでの瞑想会も開かれているようだ。
さらに、すごいのはネット通販の商品である。「2リットルの浄化水とスプレー」がセットで2万円、各種水晶が数十万円から数百万円なんていうのは序の口。世界変革とともに起こるインフレを見越して「純金製のメダル」を販売しており、100枚セットが、なんと4億1000万円(内税)で売り出されているではないか!
昭恵夫人がこうした事業にも関わっていなかったのか、「おなごの会」の連絡先に問い合わせた。
──昭恵夫人が名誉職にあった「おなごの会」を主催していましたね。
「ウチじゃないですよ」
──しかしブログには会の発足と、夫人の就任について記載が‥‥。
「もう解散したのでありません。何を聞かれても答えることはないので、切らせてもらっていいですか」
あからさまに前後が矛盾した回答だったが、有無を言わさず電話はとぎれてしまった。これも「宇宙からのメッセージ」に従った結果なのだろうか。