いよいよプロ野球のキャンプが真っただ中となった。中でも各チームが期待を込めて補強した新戦力たちには注目が集まる。はたして、球団の思惑どおりに優勝請負人となるのは──。本誌がどこよりも早く査定してみよう。
昨年の5冠覇者・巨人は、余裕の表れか、例年になくオフの補強が静かだった。
プロ野球評論家の伊原春樹氏は言う。
「東野峻(26)、金刃憲人(28)、ゴンザレス(34)という他球団であれば十分に先発ローテ入りして活躍する力がある選手を3人放出しても痛くもかゆくもなかった。投手がそろいすぎています。そして新人の菅野智之(23)は、スピード、コントロールが抜群でスライダーのみならず、カーブ、フォークと変化球も多彩。ローテに入れば10勝近くすると見ています」
盤石の巨人で目立ったのは、外国人2人の獲得ぐらいだろうか。
「5番一塁」が期待されるロペス(29)、そして抑え候補のアコスタ(31)だ。
大リーグ評論家の福島良一氏が解説する。
「ロペスは、09年にメジャーで25本塁打も記録しているパワーに期待が持てますが、早打ちで選球眼に乏しいうえ、変化球への対応が悪いんです。アコスタも、150キロ台の直球がある一方で、克服できていない制球難があります」
化ければおもしろいが、V貢献に過剰な期待はせずに、あくまで保険的な助っ人補強ができるのも巨人の強みだろう。
その巨人からトレード志願し、あっさりと認められた東野は新天地・オリックスで復活を期す。
「もともと故障があったわけではない。本来なら出さないはずの戦力なのに、巨人はあっさりと出しました。古巣に対する意地もあって、今年はやると思いますよ」(前出・伊原氏)
オリックス移籍で阪神への意趣返しを狙うのは、平野恵一(33)も同様である。
「昨年後半には上本にセカンドを奪われ、FA宣言したものの、大型補強に邁進していた阪神には足もとを見られる形となってオリックスと契約した。『俺はチームを追われたんですよ』と口にしています。森脇監督にも、『今年はやりますよ。阪神を後悔させます』と宣言しているほどです」(球団関係者)
そして同球団最大の補強といえば、キャンプ直前の大型トレードで、木佐貫洋(32)、大引啓次(28)、赤田将吾(28)を放出して、日本ハムから八木智哉(29)とともに、糸井嘉男(31)を獲得したことだ。
電撃トレードの真相を球界関係者が明かす。
「今オフのポスティングによるメジャー移籍を強硬に主張したことで、糸井サイドは球団と物別れに終わって放出されました。しかし、糸井本人には球団とケンカしてまで早期にメジャー挑戦する気はなかったんです。2度目の交渉からテーブルについた代理人が、テクニックとして強引な駆け引きで交渉を行ってしまったのが悪い方向に行ってしまった」
ボタンの掛け違いからトレードが発表されるや、ダルビッシュがツイッターで、〈糸井さんトレードとか、ありえへん〉とつぶやいたものだ。
「実は、糸井に代理人を紹介したのがダル周辺との話があり、まさかの展開に絶句したようです。いずれにせよ、糸井は投手時代に二塁ランナーがいるだけで動揺してボークを取られるほどメンタル面に弱さがある。こんな移籍劇を経て、4年連続で3割を超えたこれまでどおりのパフォーマンスがオリックスでもできるかわかりませんよ」(前出・球界関係者)
予想どおりの戦力アップダウンにはならないのかもしれない‥‥。