あらゆる称賛の言葉をもってしても足りない驚異の能力。セ・パ両リーグを代表する「完璧なる選手」が日本プロ野球界に衝撃を与えている。投げて打って、獅子奮迅の活躍を展開するツートップには、さまざまな「型破り」が潜んでいた。
2人の超人の勢いが止まらない。片や、日本ハムの二刀流、大谷翔平(22)。片やヤクルトの打撃王・山田哲人(24)。
前半戦終了間際の時点で、大谷は投手として8勝4敗、防御率2.03。打者としては規定打席未到達ながら、打率3割3分9厘、10本塁打、27打点の堂々たる数字を残している。一方の山田は打率3割5分2厘、29本塁打、72打点の主要3部門だけでなく、出塁率、安打数、盗塁でもトップを走り、プロ野球史上初の「打撃6冠」を射程に入れている。さらには得点、二塁打数、塁打数、長打率も軒並みトップに居座るなど、暫定「10冠」の驚異的数字。2年連続トリプルスリーどころか「40本塁打40盗塁」が現実味を帯びているのだ。
さて、今季は登板時にも打席に入るリアル二刀流が当たり前となった大谷が球界に衝撃を与えたのが、7月3日のソフトバンク戦。高校野球でも見られないような「1番・投手」で起用され、中田賢一(34)から驚愕の先頭打者初球アーチをかけて、首位ソフトバンクに3タテを食らわせたのだ。「サンデーモーニング」(TBS系)で張本勲氏(76)が、
「デタラメな起用をしてもらいたくない。草野球でも(二刀流は)やらない。今は22歳だからできるけれど、大事にしてやらないと両方ともダメになる。喝!」といさめても栗山監督はまったく気にするそぶりはなく、涼しい顔だったという。
実は栗山監督がこの漫画のような起用を決めた背景には、オフに墓参りを欠かさないほど指導者として尊敬している故・三原脩氏の存在があったという。西鉄、大洋の監督として4度の日本一に輝き、当て馬やワンポイントリリーフなどを発案、知将と呼ばれた名監督である。
「三原氏が大洋監督時代、外山義明という投手を1番打者として起用しているんです。栗山監督は三原氏の常識にとらわれない発想を尊敬していますから、『いつか‥‥』という腹づもりだったんでしょう」(北海道マスコミ関係者)
それでも「1番起用」を伝えられた大谷自身も「え?」と驚くばかりだったという。
「試合後、柳田悠岐(27)や内川聖一(33)らソフトバンクの選手は、怒りを通り越してアゼンとしていました。もうスケールが違う、すごすぎる、と。恐らく優勝のかかった終盤やクライマックスシリーズ進出時のソフトバンク戦で、再度やると思います」(球団関係者)
「打倒ソフトバンク」の切り札を温存する戦略である。4年目の大谷はなぜここまでブレイクしたのか。前出・北海道マスコミ関係者は、
「間違いなく肉体改造の成果です。昨オフ、ダルビッシュ有(29)のアドバイスもあって、大幅に体重を増やしてから減量して筋量だけにしぼり込むという手法です。打撃練習での飛距離が違いますから。パワーがついてボールを捉えるポイントも近くなり、打率アップ。開幕当初は100キロ以上に巨大化した肉体とこれまでのイメージにズレが生じ、投球では苦労しましたが」
自身が昨年の球宴でマークした日本最速163キロを、今季はシーズン中に連発しているが、「まだ余裕がある。本気で狙えば165キロは突破する」という声もあるほどだ。