5夜連続のドラマスペシャル「白い巨塔」(テレビ朝日系)の最終回が5月26日に放送され、全5回で最高となる視聴率15.2%で有終の美を飾った。だが、中盤のクライマックスシーンで、視聴者をガッカリさせる演出があったという。
主人公の財前教授(岡田准一)は、自身が執刀した患者を受持医で若手の柳原医師(満島真之介)に任せ、ドイツに渡航。だが財前教授の見込み違いが原因で患者は亡くなり、遺族が財前教授を相手取って起こした裁判のシーンで、その演出が露呈したという。
裁判では遺族側の弁護士(斎藤工)が財前教授(岡田)の責任を問うと、財前教授は「若くて未熟な柳原医師(満島)に大事な患者を託したこと」だけがミスだったと証言。ここで傍聴席にいた柳原医師が「ウソだ、ウソです!」と叫んで立ち上がり、「財前教授はウソをついている!」と告発して法廷が騒乱状態に陥る場面でドラマはCMに突入した。
「こういったクライマックスシーンでCMに入るのはよくあること。03年に放送された唐沢寿明版の連続ドラマ『白い巨塔』(フジテレビ系)では、同じ場面で《次週に続く》となっていたものです。そして今作でも岡田の出演する保険会社のCMが流れるなど、視聴者としてもCM明けに期待感の高まる展開になっていました。ところがそのCM明けで、視聴者を唖然とさせる演出が映し出されたのです」(テレビ誌ライター)
CMが明けると柳原医師が叫ぶシーンをもう一度映しながら、提供スポンサーのロゴが大写しになり、スポンサー名を読み上げる“提供読み”が演者のセリフに被さることに。それだけならまだしも、場面がCM前よりも先に進み、弁護士(斎藤)が「裁判長!ただ今の柳原先生の言葉は聞き逃すことができないものです」と裁判官席に詰め寄るシーンにさえ、提供読みのナレーションが重なっていたのである。
「これには視聴者も『セリフが聞こえないよ!』と激怒。テレビ朝日としてはこのタイミングでの“提供読み”は何よりも大事なスポンサー企業への忖度だったのかもしれませんが、こんな演出をしたら視聴者の怒りが当のスポンサー企業に向かってしまう恐れさえあります。この演出にはスポンサー企業の担当者も『このタイミングじゃないだろう!』と頭を抱えていたかもしれません」(前出・テレビ誌ライター)
ドラマでは、前半のハイライトを流しながら提供読みを行う手法がおなじみ。それをあえて大事なシーンに被せてきた制作側の意図は、視聴者にもスポンサー企業にとっても納得しがたかったことだろう。
(金田麻有)