交換殺人をテーマにしたドラマ「あなたの番です」(日本テレビ系)が9月8日に最終回を迎え、シリーズ最高の視聴率19.4%で有終の美を飾った。
その最終回では女子大生の黒島沙和(西野七瀬)が連続殺人事件の黒幕だったことが明かされ、人を殺してみたい衝動に抗えないと告白する姿には視聴者から〈サイコすぎる!〉といった悲鳴もあがっていた。だが一方で、ミステリードラマとしての本作に期待していた層からは〈この終わり方にはガッカリ…〉との酷評が続出しているという。ミステリーに詳しいライターがこう首を振る。
「ミステリー作品の最終回で重要なのは、《WHO》と《WHY》の2つを明かすこと。この『あな番』では、犯人の正体についてはともかく、犯行に至った理由が“殺人衝動を抑えられない”という黒島の異常な性癖だったというのは、あまりに安易な結論でガッカリです。黒島は自身の殺人衝動について『人を殺すことを愛している』と告白していましたが、快楽殺人はすでにさんざん使い古された手法に過ぎません。その実行犯がか弱い女子大生だったところに意外性を込めたのかもしれませんが、彼女が黒幕であろうことは最終回を前に多くの視聴者がすでに見抜いていました。そのため最終回が深みのない内容にとどまってしまったのが残念でなりません」
ただ、放送終了後に映し出された「番外編」の映像には、犯人・黒島沙和の裏側が映し出されているという。日本テレビでは、各登場人物を主人公とした外伝的なショートドラマ『扉の向こう』を動画配信サービスのHuluにて配信しているが、その最新回について前出のライターが続ける。
「最終回の放送後には黒島を主役とした『番外編 過去の扉』の配信が始まり、ここでは《度々凶行に走る妄想に襲われ、内心、自分が異常ではないかと悩んでいた》という沙和の高校時代が描かれてました。つまり、彼女が数々の凶行に至った背景が最終回ではなく、番外編で明かされているわけです。地上波とネット配信のメディアミックスはスマホ時代にマッチした制作手法ではあるものの、肝心の謎解きを配信任せにするのはいかがなものでしょうか。番外編はあくまで番外編であるべきで、本編を補完する役割を与えるのは視聴者を置いてけぼりにした悪手と言わざるを得ません」
そのHuluでは2週間のお試し期間はあるものの、基本的には有料サービスに加入しないと観られないもの。Huluを視聴しない人は、黒島が連続殺人に至った真の理由が分からないまま、モヤモヤし続けるのだろうか。
(金田麻有)