【木久蔵ラーメンとかけて、浅草の三社祭と解く。そのココロは、いいダシが出ます(木久扇)】
【木久蔵ラーメンとかけて、剣道と解く。そのココロは、メンがしっかりしてます(鶴光)】
鶴光 いまだに「木久蔵」って呼ばれまへん?
木久扇 先日も「笑点」の収録で失敗して。「木久蔵、芸能生活60年」って、何回も言っちゃった。
鶴光 ラーメンかて「木久蔵ラーメン」や。
木久扇 アレは「木久扇ラーメン」にすると、特許に70万取られるんですよ。商品登録しているから。ラーメンで70万、利益を上げるの、大変なんですよ。
鶴光 落語会なんかの会場に行ったら、その前から師匠が来ていて、入り口でラーメン売ってまんのや。落語プラス木久蔵ラーメンで、相当儲かってまんな。
木久扇 だから、私はサイン色紙に「入金」て書くんです(笑)。
鶴光 その話、聞きました。アントニオ猪木さんとサイン会で、猪木さんが「入魂」てサインしたら、師匠は「入金」(笑)。
木久扇 弟子と忘年会や新年会やりますよね。芸談やったことないんですよ。「入金」の話しかしない(笑)。
鶴光 芸談ちゅうのは、だんだん熱を帯びてくるから、師弟といえどもケンカになりまっせ。しまいに「出てけ、このガキ!」言うて。
木久扇 僕がお弟子さんに言っているのは、例えば、「『目黒のさんま』一席やって、いくら儲かったの?」ということ。「あの噺が好きだ」「この噺が好きだ」なんて言うのは、それは商売じゃないんですよ。
鶴光 (八代目橘家)圓蔵師匠が(五代目月の家)圓鏡さんの頃、「銭のとれる噺家になれ」って、よう言われました。
木久扇 出番前もボーッとしないで、例えばお客さんが700人入ったって言われたら、客はいくら持っているのか計算して、そこで物販をしなさいって(笑)。
鶴光 木久蔵ラーメン、これぐらい売れるな、と。見た瞬間にこの人は持っているって、わかります?
木久扇 勘でわかります。テレビの国会中継を見てても、この人はごちそうしてくれるなって(笑)。
鶴光 そういう考えをする人って、全国の噺家でたった1人とちゃいまっか。
木久扇 日本橋の雑貨問屋の息子だったんですけど、東京大空襲で着の身着のまま逃げ回って。小学1年で修羅場見てますからね、生きる大変さ、よく知ってるんですよ。
鶴光 明石家さんまさんの座右の銘は「生きてるだけで丸儲け」。
木久扇 生きてて、さらに入金があったら儲けもん(笑)。といっても、出るカネもすごいんですよ。バルセロナ五輪の前に当地に木久蔵ラーメンの店をやろうと思ったんですけど‥‥。
鶴光 エラい目に遭うた、言うてはりましたな。スペインの人はシエスタ(昼休憩)でお客は来ないとか。
木久扇 猫舌でもありました(笑)。基本的には水が硬水なんですよ。浄水器入れたり、そっちのほうが大変。ま、調査漏れがいっぱいあって。7000万円、損しましたね。
鶴光 これからの落語界ってどうなっていきます?
木久扇 こないだ若い人がスマホを1日平均5時間使ってるというニュースがありました。いくら好きでも、1日5時間、落語に費やすってないですよね。
鶴光 AIの時代になると、名人、爆笑王を全部備えたロボットが出てくるわけで。
木久扇 それはすごいですね。どうやったら「入金」できるか、作戦を練らなくては(笑)。
鶴光 やはり噺家は高座(口座)が大事や(笑)。
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林家木久扇(はやしや・きくおう)1937年10月19日、東京・日本橋出身。60年、三代目桂三木助に入門。翌年、三木助没後、八代目林家正蔵門下へ移る。69年から日テレ「笑点」のレギュラーメンバー。73年に真打昇進。2007年、親子ダブル襲名により林家木久扇を襲名。落語協会相談役。俳人協会会員。鯨の食文化を守る会副理事。出囃子は「宮さん宮さん」。持ちネタは「彦六伝」「目黒のさんま」「湯屋番」「鮑のし」など。著書に「林家木久扇のみんなが元気になる学校寄席」絵本「ラーメンてんぐ」「親馬鹿力のおかげです」「木久蔵一代 バカの中身」「キクゾーのチャンバラ大全」など。「『笑点』のオープニングで登場するメンバー紹介アニメの似顔絵は私が描いたんですけど、評判がいいんで、絶賛放映中です」
笑福亭鶴光(しょうふくてい・つるこ)1948年1月18日、大阪市出身。67年、上方落語の六代目笑福亭松鶴に入門。74年からニッポン放送「オールナイトニッポン」などのパーソナリティとして人気。東京を拠点に上方落語の発展に尽くす。上方落語協会顧問。落語芸術協会上方真打。出囃子は「春はうれしや」。師匠譲りの豪快な話芸で「相撲場風景」「三人旅」などを得意にしている。J:COMJテレにて隔週土曜「オールナイトニッポン.TV@J:COM」、J:COMチャンネル関西エリアにて毎週土曜「ジモト満載えぇ街でおま!」に出演中。「1月13日に横浜にぎわい座で笑福亭鶴光一門会を開催。茶光の二ツ目昇進祝いなど、にぎやかで楽しい上方落語の世界をご堪能あれ。ワシは『子別れ』をやりまっせ」