芸能

笑福亭鶴光が林家木久扇を爆笑直撃!「笑点」出演50年の「裏事件」(1)「タイで天丼食えるとは」って

 今年で芸歴60周年を迎える林家木久扇師匠のモットーは、「昨年よりも1円でも多く稼ぎたい」ということ。現在82歳。そんな年齢になっても、昨年の自分をライバルに見立て、右肩上がりの収入を狙う。その心意気、見習いたいものです。というわけで、「チン談マン談」シリーズの笑福亭鶴光が「ゲイ談」プラス「キン談」に斬り込む新春放談やで!!

【笑点出演50年とかけて、繁盛している宿屋の空いてる部屋と解く。そのココロは、座布団がたくさん重なっています(木久扇)

【笑点出演50年とかけて、愛知県が抜けてる地図と解く。そのココロは、オワリがないです(鶴光)

鶴光 今年で芸人生活60年。昨年11月に「笑点」(日本テレビ系)出演50年でっか。

木久扇 「笑点」に参加したのは、(七代目立川)談志師匠が参院選に出馬して司会が前田武彦さんに代わった頃です。当時は扇型に5人5人に分かれてました。

鶴光 それぞれ、キャラが強かったですよね。

木久扇 昔の「笑点」は(五代目三遊亭)圓楽さんが星の王子様で、(四代目三遊亭)小圓遊さんが「ちまたでは」のフレーズのキザな若旦那、(桂)歌丸さんはハゲが売り物。で、私は売り物がないから困っちゃって。私は小さい時からチャンバラ映画が好きで、小学4年の時、映画館でアイスキャンデー売りをして、嵐寛寿郎の「鞍馬天狗」とかよく見てました。で、「杉作、日本の夜明けは近い」を大喜利のどんな問題にも答えで連発したんです。これがみごとにハマりました。

鶴光 皆さん、亡くなってしまいましたな。

木久扇 歌丸さんにはずいぶん、ひいきにしてもらいました。40年以上前、私たち、ペアで出演する関西のクイズ番組に優勝して、ご褒美が東南アジア八日間の旅。歌丸さんは初めての海外でした。「お昼はテンペラー見学です」に、歌丸さん、「タイで天丼食えるとは思わなかった」(笑)。

鶴光 寺院をテンペラーていうんですね。

木久扇 タイの空港では、日本語と英語で「外貨を100万円以上持っていると没収」と貼り紙があって、歌丸さん、「両替して規定額以上の米ドル持ってんだよ」って。すぐにトイレで裸になってそのおサツをセロテープで上半身に貼り付けて。私も歌丸さんも背中はおサツがベッタリ。40分後にトイレから出たら、一緒のツアーの人も添乗員もいない。搭乗口でチケット見せて「コレは?」って聞いたら、空を指さすんです。飛行機が飛んで行ってしまいました(笑)。

鶴光 その歌丸師匠や(五代目)圓楽師匠に続いて、正月のBS笑点ドラマスペシャルの第3弾にいよいよ木久扇師匠が登場します。題して「初代林家木久蔵~おバカのスーパースター」(BS日テレ 1月11日午後7時~9時)。木久蔵師匠に扮するのは柄本時生さん、師匠の師匠の(八代目)林家正蔵師匠(のちの林家彦六)が橋爪功さん。

木久扇 高座で失敗して「バカ野郎」って怒られるシーンなんか、おふたりともうまかったですね。

鶴光 正蔵師匠、亡くなるまでずっと稲荷町の長屋住まいだったんですか。

木久扇 大家さん、家賃1万円しか取らなかったんです。ウチの師匠お得意の本式道具仕立ての怪談芝居噺の準備で、舞台の骨組みや背景を作っている時、亡くなった(三代目三遊亭)金馬師匠のところから預かった弟子の林家時蔵さん(のちの林家林蔵)について言うんです。「時蔵はいつも釘をくわえてるだろ。唾液で釘はさびて木の板抜けねーんだ。若いのに知っているのはエライ」って。

鶴光 プロの大工や。

木久扇 で、時蔵さんが真打昇進した時、「あいつは貧乏だから」って自分の貯金を下ろして100万円あげたんです。おかみさん、ずーっとコボしてました。

鶴光 ウチの師匠の(六代目笑福亭)松鶴も、目の不自由な方の学校で講演して、もろうたギャラ、「机の1つも買うたって」と全部返したんですよ。帰ったら、奥さん「家賃、どうすんのや」って嘆いてましたで。

木久扇 ウチの師匠は怖い顔して楽屋で座ってましたけど、優しくてあったかい人だったんです。亡くなった時、弟子に1人30万ずつ配れって遺言があったんです。

鶴光 ウチの師匠、何もしてくれなかったな。形見分けはありましたけど。

木久扇 私、もらってなかったんで、ご長女に「まだなんですけど」って言ったら、「いやだわ。アンタと(二代目林家)正楽さんは食べていけるからいいって言われたのよ」だって(笑)。

林家木久扇(はやしや・きくおう)1937年10月19日、東京・日本橋出身。60年、三代目桂三木助に入門。翌年、三木助没後、八代目林家正蔵門下へ移る。69年から日テレ「笑点」のレギュラーメンバー。73年に真打昇進。2007年、親子ダブル襲名により林家木久扇を襲名。落語協会相談役。俳人協会会員。鯨の食文化を守る会副理事。出囃子は「宮さん宮さん」。持ちネタは「彦六伝」「目黒のさんま」「湯屋番」「鮑のし」など。著書に「林家木久扇のみんなが元気になる学校寄席」絵本「ラーメンてんぐ」「親馬鹿力のおかげです」「木久蔵一代 バカの中身」「キクゾーのチャンバラ大全」など。「『笑点』のオープニングで登場するメンバー紹介アニメの似顔絵は私が描いたんですけど、評判がいいんで、絶賛放映中です」

笑福亭鶴光(しょうふくてい・つるこ)1948年1月18日、大阪市出身。67年、上方落語の六代目笑福亭松鶴に入門。74年からニッポン放送「オールナイトニッポン」などのパーソナリティとして人気。東京を拠点に上方落語の発展に尽くす。上方落語協会顧問。落語芸術協会上方真打。出囃子は「春はうれしや」。師匠譲りの豪快な話芸で「相撲場風景」「三人旅」などを得意にしている。J:COMJテレにて隔週土曜「オールナイトニッポン.TV@J:COM」、J:COMチャンネル関西エリアにて毎週土曜「ジモト満載えぇ街でおま!」に出演中。「1月13日に横浜にぎわい座で笑福亭鶴光一門会を開催。茶光の二ツ目昇進祝いなど、にぎやかで楽しい上方落語の世界をご堪能あれ。ワシは『子別れ』をやりまっせ」

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