芸能

テリー伊藤対談「林家木久扇」(3)先月の自分自身がライバルなんです

20141106q

テリー たい平師匠から木久扇師匠のことをよく聞くんですけど、師匠は「僕のライバルは常に先月の収入を超えることだ」って言ってるそうですね。

木久扇 そうそう。先月の月収がライバル。先月の倍ぐらいを目標に。

テリー 「先月の自分自身を乗り越える」ってことですよね。すごいことですね。いつ頃からその目標を持つようになったんですか。

木久扇 僕は日本橋の雑貨問屋のせがれですから、小さい時からソロバンの音を聞いていて。父が「売り上げ、売り上げ」ってよく言ってましたんで「人間って売り上げるもんなんだ」って思っていたんです。だから成人してこの職業になっても、昨日より今日、今日より明日っていう感覚が自然とできましてね。

テリー ご実家は豊かだったんでしょう。

木久扇 いや、父と母が離婚しまして、母子家庭なんです。小学校4年の時から新聞配達をやって、それでうちに1500円入れてましたから。高校の時まで学費は自分で稼いで、自分で食べていたんです。

テリー どうして落語家になろうと思ったんですか。

木久扇 日本橋・人形町の隣の久松町の生まれで、5~6歳からおばあちゃんに連れられてしょっちゅう明治座や末広亭に行っていたんです。で、落語を覚えちゃって、学校の休み時間に(三遊亭)金馬師匠や何かのマネをすると笑ってもらえるんですよね。それでウケることの快感を覚えて。

テリー 修業時代の、あまりお金を稼げない頃はどうしていたんですか。

木久扇 でも頭を使いましてね。上野の鈴本(演芸場)で前座働きをしてますでしょう。そうすると近所に「ボーナス」っていうキャバレーがあったんですよ。兄弟子がそこの司会の仕事を紹介してくれて、間の講談の「本牧亭」という席に兄弟子の紺の服と蝶ネクタイが置いてありまして、そこで着物から着替えて、司会に行ってたんです。

テリー アルバイトをしていたんだ。

木久扇 当時はショータイムにヌードがありまして、メリー松原さんとかの裸が見られたんですよ。司会はショーの間の15分くらいで終わっちゃうから、また楽屋に戻って働いて。

テリー 知らん顔をして。

木久扇 途中でいないから、その分また楽屋ですごく働いて「前からいたんだ」っていうような雰囲気で。さらにまた2部のショーも司会をしに行って、1日5000円稼いでたんです。

テリー 当時の5000円って、けっこうな額ですよ。その後65年に二つ目に昇進して、69年には「笑点」のレギュラーになってるから、エリート街道ですよね。

木久扇 それには下地がありましてね。楽屋働きをしている時、気が利くっていうんで立川談志師匠にずいぶん気に入られて、カバン持ちをやっていたんです。

テリー ああ、なるほど。

木久扇 「笑点」をこしらえたもとは立川談志さんですから「お前、小遣いがいるのか」って言って、当時のプロデューサーさんを紹介してくれまして。初めはテレビのパネルを描く仕事をやらしてくれたんです。

テリー へえー!

木久扇 1枚3500円ですかね。それを5枚とか6枚分頼まれるんですけど、僕は金がないから、いつも10枚描いていって「いや、こんなにいらない」って。

テリー 「3万5000円になっちゃうじゃないか」って。

木久扇 そうそう(笑)。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
暴投王・藤浪晋太郎「もうメジャーも日本も難しい」窮地で「バウアーのようにメキシコへ行け」
3
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
4
侍ジャパン「プレミア12」で際立った広島・坂倉将吾とロッテ・佐藤都志也「決定的な捕手力の差」
5
怒り爆発の高木豊「愚の骨頂!クライマックスなんかもうやめろ!」高田繁に猛反論