◆ゲスト:福島瑞穂(ふくしま・みずほ)。1955年生まれ。宮崎県出身。東京大学法学部卒業後、弁護士を経て、98年社会民主党から参議院比例第1位で当選。03年より社民党党首を務めた。09年発足の鳩山内閣では内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全・少子化対策・男女共同参画担当)として入閣を果たす。13年7月の第23回参議院選挙において、社民党が惨敗したことを受け、党首を辞任した。
7月21日の参議院選挙で大敗北を喫し、10年間務めた社民党の党首を辞任した福島瑞穂議員。政治家へ転身する前の弁護士時代から、テレビで激論を交わしていた天才テリーとは久々の対面となったが、社民党の弱点を次々と指摘するテリーに、福島議員も負けじと応戦する──。
テリー 7月27日に記者会見を開いて、社民党の党首を辞任したわけだけど、辞めるって、いったいいつ決めたの?
福島 参議院選挙の投票結果が出た当日、7月21日ですね。実は12月の衆議院選挙の時点で、これはとてつもない敗北だから責任を取るべきだと思ったんですが、もう7月の参議院選挙まであまり時間がないわけですよ。しかも、その時点で候補者に比例区で出てほしいというのを要請している最中だったので、自分が党首を辞めますとなると、次の選挙の話がむちゃくちゃになるから、参議院選挙は全力投球で頑張ろうと。
テリー そして、社民党の結果は全国で1名が当選‥‥福島さんは、今回の敗北をどう総括してるの。
福島 もっと魅力的な運動をやらなくちゃいけないと思っています。党員としてやっている方も、見てる方も、両方が楽しくなるようなことを。
テリー 社民党の主張に関して、俺は一つおかしいなと思っていることがあるんだけどさ。よく「大企業ばかり儲けさせてどうするんだ」って批判するよね。でも、大企業にとりあえず儲けさせないと、その下請けの中小企業も儲からないじゃない。
福島 大企業がけしからんというわけじゃなくて、小泉構造改革の時にそうだったけれど、大企業が潤っても、富裕層が富むだけで、それ以外の層まで恩恵がなかった。
テリー でも、アベノミクスが展開されたことによって、現実として、日本の経済は豊かになってる部分もある。日本のいろんな財界の人たちが、いい結果が出たと分析しているのも事実だと思うんだ。
福島 アベノミクスに関しては、とりわけ雇用について問題は多いんです。例えばアベノミクス戦略の一つ「限定正社員制度の導入」。これは企業側にとって労働者を解雇しやすくなる一面がある。他にも「派遣は原則自由にしよう」なんていう議論がまた出てきています。
テリー でもね、「大企業が全て悪だ」っていう主張に聞こえちゃうんだよね。
福島 いやいや、そんな感じではないです。大企業は儲かっていいんです。ただ、儲かったものを独占しないで、地域、中小企業、働く人たちにちゃんと振り分けましょうと。
テリー そこのところで、何かきちんと上手な言い方をしないと、下請け会社の人たちは「社民党は何を言っているの。大企業を儲けさせなかったら、下請けの俺のところは外注がこないよ」って反発する人もいると思うんだよね。社民党って何でも反対っていうイメージがあるじゃないですか、実は。
福島 そうかなあ。
テリー 残念ながらあるんですよ。人に夢を与えることを提案していかないと。ポジティブな政策の言い方をするって大事だと思う。
福島 だから「中小企業を応援します」と言ったほうがいいのかもしれない。
テリー そう。そうしないと。俺はテレビの番組を作っているでしょう。一般の人って、ものすごく毎日が大変ですよ。じゃあ、その時に政治がどうだとか、殺人事件がどうだとかっていうのばっかりテレビで流していても「そんなのもういいよ」と。「そんなことより、こんなに毎日、自分は大変な思いをしてるんだから楽しいものを見せてほしい」って言われるんですよ。
福島 ポジティブさは大事ですよね。