「浮浪雲」「アシュラ」「銭ゲバ」など数多くの名作を生み出し、週刊アサヒ芸能でも数々の作品を手がけた漫画家・ジョージ秋山氏が77歳で死去したのは今年5月12日。人間の業、男女間の性を鋭く追求し続けた作品群の中から、実写化されたタイトルをピックアップ。貴重な関係者の証言とともに、その偉業を振り返りたい。
性的な営みをテーマに数多くの作品を手がけた秋山氏。その中でもピカイチの存在感を誇るのが「週刊漫画ゴラク」で連載された、親族間での性的行為をテーマにしたヒット作「ピンクのカーテン」だ。
同作は、日活“ロマン映画”の一作として映画化、82年7月に劇場公開されて、デビュー2年目の新星・美保純を一躍スターダムに押し上げた。映画評論家・秋本鉄次氏が当時の驚きを振り返るには、ロマン映画にはそれまでも白川和子や宮下順子のような美人は出演していたものの、どちらかというと完熟した女性というイメージだったというが、「そういった意味でも、美保さんの登場は画期的だった」として、「こんなにかわいい娘が出ていいの?というくらいの衝撃をファンに与えた作品です」と語った。
物語は、女性未経験の青年・奥山悟(阿部雅彦)が、性に奔放で少々天然の妹・野理子(美保)と同居することになり、悶々とした日々を送るというもの。
冒頭、悟は自分で慰める行為をしていた直後に家に入ってきた野理子に狼狽する。知ってか知らずか、野理子は「男臭い~」と言うと、おもむろにショートパンツとトップスを脱ぎ捨てる。トップスの下は肌着はつけておらず、美保の若々しく形のよいバストが気持ちよくあらわになる、健康的な艶っぽさがまぶしい一場面だ。
一転、野理子と中年男性のベッドシーンは実に濃い内容だ。ホテルの一室にマッパ&ピンクのスカーフといういでたちで情夫にまたがる野理子に、
「腰を動かしてごらん」
といやらしい指示が飛ぶ。下から揉みしだかれるバストは美しくゆがみ、激しく感じて「アア、オ、アア」と愉悦に頭を振る美保の艶技は興奮必至。中盤には風呂場での口ワザというサービスシーンも盛り込まれるなど、全編を通してふんだんに美保の美バスト、引き締まったヒップを拝むことができる。
作中では、アパートから池袋・サンシャイン60を見上げるシーンが多々挿入されるのだが、
「美保さんがそのたびに『建ってる、建ってる』と笑顔で言うのがユーモラスでおかしかった。もちろん、男性の『勃ってる』をもじっているワケで、そのたびに劇場にいる若い男性たちも思わず勃っていたかもしれない(笑)」(秋本氏)
「ピンクのカーテン」は大ヒットを記録、同年10月に第2作、翌年3月に第3作が公開される人気シリーズとなり、美保自身の代表作にもなったのだ。
その後も、87年に人気艶系女優・小林ひとみが野理子役・主題歌を担当したオリジナルビデオアニメ、また最近では09年に蒼井そら主演、溜池ゴロー監督の艶作品も制作されるなど、息の長い人気を誇るヒット作は、今や秋山氏の艶系実写化作品の「金字塔」とも呼ぶべき作品なのかもしれない。