83年4月に始まった「オールナイトフジ」(フジテレビ系)は、深夜番組を劇的に変えた。オールナイターズの一員として参加した山崎美貴は、数多くのハプニングに立ち会った。
──在籍はどのくらい?
山崎 2年半ですね。オールナイターズの一員で2年、そのあと司会を半年やりました。
──深夜の生放送でしたから、毎週のように「不測の事態」があったかと。
山崎 スタジオにはバーカウンターがあって、レギュラーもゲストの方も、お酒を飲みながらということが多かったです。片岡鶴太郎さんは泥酔してお尻を出したりしましたし、とんねるずの2人も飲んだ顔してコントやっていました。
──86年には、作家の野坂昭如氏が泥酔して番組に乱入。石橋貴明に平手打ちを浴びせるという1コマも。
山崎 さすがの貴明さんも、相手が野坂さんだと反撃はできなかったのではと。
──ゲストが巻き起こした「事故」も多かったかと。
山崎 政治評論家の細川隆一郎さんは、出番まで2時間半も待たされたことに怒って、なぜかご自宅の電話番号を連呼されたんですよ。翌日には数百本の電話が鳴って、さすがに番号を変えたらしいです。
──深夜12時過ぎのスタートですから、リハなどを含めれば待ち時間が長いゲストもいるんでしょうね。
山崎 あのマドンナが出たこともあるんですが、彼女も「なんでこんなに待たせるの!」と怒っていました。
──アサ芸連載陣の笑福亭鶴光師匠が、松本明子に「禁断の4文字」を言わせたことも語り継がれています。
山崎 まだ現役アイドルで若かったんですよね。それなのに周りの大人に乗せられて、一時的にテレビから干されることになって、かわいそうだなって思いました。
──うら若き乙女が「オ○ンコー!」と絶叫させられたわけですから。結果的にバラドルとして活躍する原点になったとも言えます。
山崎 アイドルといえば、トップ人気だった松田聖子さんが、本当にフラリとスタジオに来たことがあったんです。前の番組の収録が終わって、メイクも全て落としていて、番組のプロデューサーに「聖子、来いよ」という感じで呼ばれたんでしょうね。スッピンでもかわいかったですけど、今ではありえないことです。
──ゲストの話が続いたので、レギュラー陣に戻りましょうか。まず、司会者だった松本伊代が自身の著書を手に「私もまだ読んでないんですけど」と言った事件がありますね。
山崎 鶴太郎さんが「えっ、伊代ちゃんが書いたんだよね?」とツッコんで。伊代ちゃんらしくてかわいかったですけど。
──意外なところでは一時期、小森和子もレギュラーに。なぜかセックス講座が多く「マイクを男性器に見立てて実演」という衝撃の1コマも。
山崎 あれは鶴太郎さんに無理やりさせられた感じでしたね。私たちは映画評論家の方と思っていたので、まさか、あんな話もされるとは(笑)。
──そもそも松尾羽純と組んでコーナーを担当していた「ビデオソフト情報」では、AVも必ず毎週1本は含まれていた。これをそのつど説明するという過酷なものでしたね。
山崎 かなりセクハラなコーナーでしたね。わざと棒読みしていましたけど、いちばん子供っぽい2人にやらせてたんでしょうね。
──このコーナーから人気が出て、深谷智子を加えた3人で「おかわりシスターズ」としてレコードデビューしました。
山崎 そのPVを撮りにハワイに行ったんです。そしたら志村けんさんがいらして、夕食をごちそうになったんです。実は志村さんは「スターどっきりマル秘報告」のレポーターで、私たち3人の部屋の「寝起きレポート」をやった。ところが羽純ちゃんが裸同然で寝ていて、さすがに志村さんも「これ、映せないよ」と苦笑いで。オンエアもモザイク状態でしたね。
──さて、それでは近況を。
山崎 10月21日から上野ストアハウスで「獅子吼」という音楽劇に出ます。ぜひ見にいらしてください。