1986年12月の「世紀のトレード」はご記憶にあるだろうか?ロッテオリオンズの落合博満氏と、中日ドラゴンズの牛島和彦氏、上川誠二氏、平沼定晴氏、桑田茂氏の「1対4」トレードである。落合氏はこのトレードをきっかけに年俸を1億3000万円にアップ。日本人初の年俸1億円プレイヤーとなり、その存在価値を世間に知らしめたが、一方で、4人でトレードに出された選手の心境とはどんなものだったのか…?
元プロ野球選手、大久保博元氏のYouTubeチャンネル〈デーブ大久保チャンネル〉に牛島氏が出演。名古屋駅のホームにわざわざ見送りに来てくれた当時の故・星野仙一監督にかけた言葉を牛島氏が振り返るとともに、現在の心境を吐露した。
3月14日付けで〈【悲劇】世紀の1対4トレードの心境〉とタイトルがつけられた投稿回を観てみると、トレードで出される立場から「ありがとうございますって言うのも…」と、星野監督に何と声を掛けようかと困っていたと言う牛島氏。悩んだ末に出た言葉が、「落合さんのお迎えですか?」とふざけてみたのだとか。
これに星野監督は「バカヤロー!」と怒鳴り返してきたそうだが、逆に怒鳴られるくらいで良かったと、胸中は複雑であろう星野監督の気持ちもおもんぱかっての牛島氏の配慮だったようだ。
2005年、2006年には横浜ベイスターズの監督を務めた自身の経歴も照らし合わせ、「(あのトレードは)仕方ないな…。あの当時、落合さんが巨人に行くこと考えたら」とも牛島氏は口にしている。中日に移籍してからも本塁打王と打点王にそれぞれ2度輝いた落合氏がもし、当時巨人に移籍していたら、中日にとって大いなる脅威になったかもしれない。
それを星野監督は何としてでもと防ごうとしたのではないかと語った牛島氏。「1対4」トレードを決してネガティブには捉えず、クレバーな語り口調には好印象を受ける。牛島氏の知らなかった面を見ることができた興味深い回だった。
(ユーチューブライター・所ひで)