元プロ野球選手、山本昌氏は、1983年にドラフト5位で入団以来、中日ドラゴンズ一筋、50歳にしてマウンドに上がり、通算219勝をあげた。
そんな山本氏がFAの権利を有したのは97年シーズンオフのことだった。同年の山本氏は18勝をあげ、3年ぶり3度目の最多勝と初の最多奪三振のタイトルを獲得。さらにベストナイン、最優秀投手などの表彰を受けるなど目覚ましい活躍を見せている。
元プロ野球選手、大久保博元氏のYouTubeチャンネルで4月20に投稿された動画に、その山本氏が出演。FA権を行使せずに残留した理由を語っている。
当時、「山本昌、巨人、年俸3億!」と報じられ、「こんなにもらえるの!?」と驚いたという山本氏。それでも中日を出る気はなかったそうだが、ポーズとして「検討中」と球団に申し出たところ、後日、スポーツ紙に当時の故・星野仙一監督の談話として「ワシはそういう教育しとらん」との一言が掲載されていたという。
これを見て「星野監督怒ってらっしゃる!?」と慌てた山本氏は球団に足を運び、何の駆け引きもないまま1億5000万円から3000万円アップの1億8000万円で承諾。「サインしちゃったよ…」と振り返った。巨人入りしていれば2倍にも増えようかという山本氏の年俸だったが、それでも当時は投手として球界最高年俸だった。
第1次政権と第2次政権を合わせ、中日で11年間監督を務めた星野監督だが、97年は唯一の最下位だった。何としてでも山本氏を残留させようとの星野監督の執念も垣間見えた、興味深い動画だった。
(ユーチューブライター・所ひで)